第二十七部 第六章 しもべ
「こちらにいらっしゃいましたか」
近衛のサイトウ公爵が近衛の兵士とともに走ってこちらに来た。
「ああ、ここだ」
国王が軽く手を振った。
「会議室が爆破されたので、心配してたのですが」
サイトウ公爵が心配そうに答えた。
何か変だ。
この人達が国王とかの心配とかするか?
などと思ったら、アオイがサイトウ公爵の顔面を殴った。
「おやおや、こんなとこにも潜ってますか」
言いながら、気絶しかかってるサイトウ公爵の頭をがっちり掴む様にして、また仮面が出てきた。
「さすがアオイ様ぁぁぁぁぁぁぁ」
横でふわふわ浮いてる修羅についてた仮面の分霊が感動してる。
すっかり、アオイに忠誠を誓ったようだ。
「なぜだ! 何故、私が掴めるのだ! 」
仮面が動揺している。
「普通に掴めますよ。ところで、これも分霊なのでしょうか? 」
アオイが親父に聞いた。
「だと思うぞ」
親父が答えた。
「お、お前は何をしている」
仮面がアオイの横にふわふわとんでる仮面の分霊に聞いた。
相当動揺しているようだ。
「私はアオイ様のしもべだ」
ふわふわ浮いてる仮面が答えた。
「はぁあああああああ? 」
アオイに掴まれている仮面が衝撃を受けている。
「ついでに、これも私のしもべにしましょう」
言いながらアオイがじっと手につかんだ仮面を見た。
「やめっヤめろっ! ヤメティィィィィィィィィィィィィ」
アオイに掴まれた仮面がガクガクと震える。
「別の分霊に介入なんて神クラスでも難しいんだけど」
横でカガが凄い顔してる。
「アオイ様は最強ぅぅぅぅううううう」
もう一つの仮面が叫んだ。
こええええ。
皆が息を飲んで見てる。
テューポーンをコントロールできるし、この子は絶対普通じゃない。
だからこそ、いろいろ怖くて言えません。
だって、にんげんだもの。
「冗談抜きで一旦、船かなんかで俺達だけ外に出た方が良くないか? 」
親父が首を傾げた。
「なんで? 」
国王が聞いてきた。
「いや、これだけ潜りこんでるなら、結構、ここで戦うにも混乱するんじゃね? 一旦、俺達が海に出てこの手を全部追わせた方が良いと思うわ」
「なるほど」
「しかし、うちの船は燃えちゃったんだけど」
「それならば新造艦に乗るといい」
国王が言った。
「え? そんなのあるの? 」
「ああ、元々お前の船だ」
国王が嬉しそうだ。
もうこの時点で嫌な予感しかしません。
眩暈がする。