第二十七部 第三章 親父
「まあ、苦手なだけだから、とりあえず、メイヴの方が問題だよな」
親父が言った。
「とりあえず、その生弓生矢の矢じりと使い方教えてくれよ」
俺が親父に頼んだ。
「膝カックンで無くてか」
親父が驚いたようだ。
「まあ、膝カックンも使えるとは思うんだけど」
「はあ? 」
俺が言ったら、カガがキレそうな顔してる。
「え? 使えると思うよ。隙が出来るし」
「え? マジで言ってんの? 」
「うん。含み針を俺は使うけど、こういう地味なのって効くよ」
「<終末の子>なんだから、もう少し派手なスキルを考えたら? 」
「逃げる方は結構あるけど」
「いや、逃げるんじゃなくて」
カガの顔が引き攣ってる。
「いや、でも、良く考えた方がいいんじゃね? 」
親父がカガに聞いた。
「どういう事だい? 」
「例えば、核弾頭とかそう言うのを超える一撃で大陸をも塵に出来る力を持ったとしてだな。多分、こいつ、躊躇なく使うぞ」
「え? 」
「ああ、それは言えるな」
国王も頷いた。
「全然躊躇しないからな」
カルロス一世も頷いた。
「基本、人道だの人権だのしょうも無い事を考えなければ、火力で相手を一気に殲滅が正しいっちゃ正しいからな」
親父が肘ついて答えた。
「つまり、そう言う教育をしてきたって事かい? 」
カガが親父を睨んだ。
「まあ、自分でそう理解したってだけだろ。俺も七歳の時にいつも遊んでる貧民街の子たちが無慈悲に犯罪組織にやられてるの見て、親父に言ったけど、ああいう世界はああいう世界で上とつながりがあるから誰も動いてくれなかった。国王とはいえ、あくまで国の機関の一つだしな」
「だから、自分でしたって事かい? 」
「ああ、その部分はこいつは俺に似てると思うわ。まさか、<終末の子>だとは思わなかったが、良い様にこいつが上の連中にいろいろとやらされるだろうって事は予見してた。だから、どんな時でも生き延びれるように教えたつもりだ」
親父が笑った。
少し、猛獣のような雰囲気のある笑みだった。
「つまり、上の上に反感を持ってらっしゃると言う事ですか? 」
泡吹いてた樹老人が真顔になって親父に聞いた。
「いや、そんなのは無い。でも、親として自分の身は自分で守れるようになるべきだと思った。ただ、逃げるのに特化してるのには笑ったけどな。それはそれで凄く正しいと思うが」
親父が破顔した。
「結構、良いお父さんしてんだな」
国王が笑った。
「まあな。こちらの世界からあちらの世界に行って、あちらの世界の凄い神と結婚して産まれた子だ。俺にはなんにも教えれないけど、ただあがいてでも生きていて欲しい」
「え? 親父がまともな事言った。何か起こるんじゃね? 」
俺がちょっと怖い顔して答えた。
そしたら、激しい地響きがした。
王宮が揺れてる。
「な、何だ? 」
国王が不安そうだら。
「「ほら! 」」
俺とカガが親父に突っ込んだ。
「え? 俺のせいなん? 」
親父が困ったような顔をした。
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