第二十七部 第一章 プロローグ
「まずい、新しい世界を拡げてしまった」
親父がこないだ、産まれるつもりだった赤ちゃん用に送ってきた荷物の涎掛けとかを自分が付けることになるとは。
何やってんだろう、俺。
ドンドン、おかしな道に入ってないか?
赤ちゃんプレイをする<終末の子>……凄いな、凄すぎる。
<終末の子>の意味が違ってんだったらしどうしょう。
とりあえず、涎掛けを外した。
頭の横にガラガラまである。
やっちまったなぁ。
おむつは流石に拒否したのだが、ここまで来ると次回にはやってしまうのだろうか。
何か、もう、いろいろ考えるの嫌になって来た。
とりあえず、静かに服着て、部屋を抜け出した。
今日はもう、笑えません。
外に出ると、王太子の警備室を見るとヨシアキ大佐と和真が外の椅子に座ってた。
「ごくろうさまです」
いつものようにヨシアキ大佐が笑顔で迎えてくれたが、横の和真が気になる。
一体、何なんだ?
和真が俺の口元を見てにやりと笑った。
「ふふふ、涎の痕がある」
和真が俺の口元を指差した。
「ああ、寝過ぎたか? 」
俺が口元を手でごしごしやって答えた。
「違うな、やっただろう。赤ちゃんプレイを」
和真がしてやったりと言う顔をした。
「何だとっ! 」
「くくくくっ、あっさりお前の許嫁はこっちの話を信じたようだな」
「き、貴様、許嫁達に何を言った! 」
「ふふふ、結婚が決まったら、女性の方がママとして赤ちゃんプレイをするのが日本の伝統だと」
「きっ貴様! 」
俺の身体が怒りで震える。
「これで、貴様も俺と同じ、べいびぃ仲間だ」
和真がしてやったりとべいびぃを強調して言いながら笑った。
え?
って事は?
「お前もやったの? 」
「やったよ。おむつまでかえられたよ」
「かはっ! 」
そ、そうか。
「おしっこしなさいとか言われて、しなかったらがぶがぶ水の飲まされておしっこが漏れるまでやらされたよ」
和真が泣きながら笑ってる。
「くぅ。しかし、俺は悪いがおむつプレイは拒否したんだ」
「な、なんだと! くくっ、俺だけ恥じゃないか! 」
「何だ。赤ちゃんプレイの話ですか」
ヨシアキ大佐が笑顔で言った。
は?
すげぇ、嫌な予感。
「それ、こっちのヤマトの伝統行事ですよ。正確に言うと修羅と猛禽がそうなんですけど」
ヨシアキ大佐の横にいた衛士が笑った。
なんですとー!
「ほう、とうとう赤ちゃんプレイをこなしたようだな」
いきなり、背後から国王が声をかけてきた。
そこには国王と宰相と親父と樹老人とカガとカルロス一世がいた。
「はっ、ま、まさか! 」
「ふふふ、ヤマトのそれは伝統行事なのだ。修羅や猛禽は捕まえた男と結婚する前に、自分が捨てられないように相手の心を折るため赤ちゃんプレイをするんだよ。勿論、ヤマトの王家も重要貴族も経験済みだ」
国王が胸を張った。
「な、何と言う恐ろしい世界だ」
俺の震えが止まらない。
「俺はそれが嫌で戻らなかったからな」
親父が笑いながら答えた。
「ちょっと、<終末の子>が赤ちゃんプレイって何なんだよ! 」
カガがすんごい顔してる。
横で樹老人が泡吹いてる。
問題はその横だ。
カルロス一世が凄い顔してる。
「お、叔父さん……まさか……」
俺がカルロス一世に聞いた。
「……くくっ」
カルロス一世が呻きながら目を見開いた。
「お、叔父さん」
カルロス一世がその場に蹲って動かなくなった。
そうですか、叔父さんも赤ちゃんプレイを……。
何と言う世界。




