第二十六部 第一章 プロローグ
「くぅぅぅぅぅ、こんな大事な時のはずなのにやっちまった」
目が覚めて唖然とした。
十七人いると壮観だな。
皆、裸だし。
深雪の毛布がずれてるので掛けてあげた。
しかし、深雪にしてもさくらにしても向こうの世界では大丈夫なのだろうか。
行方不明とかで騒がれてたら嫌だなぁ。
いろいろと悩むが、朝のもう一度は避けねばなるまい。
急いで、すさささと服を着ると、静かにベットを降りた。
してる最中はスプーンとかで無理矢理食べさせられるから、少なくとも四度か五度ほど食事タイムがあったはずなので、恐らくは一日は経っているはず。
すると、この朝日は次の次の日の朝と見た。
とりあえず、静かに寝ていた貴賓室のドアを開けて、そっと閉めて部屋の外に出た。
むう、隣の王太子警備室にいるヨシアキ大佐に顔を合わせ辛いな。
などと思っていたら、ガチで会ってしまった。
「ご苦労様です」
「あ、こりゃ、どうも」
うえぇぇぇ、会いにくい。
「ああ、でぶせんを気にしてるんですか? 」
ヨシアキ大佐が突っ込んできた。
ううむ、心を読まれたような。
「あれは、婚約者の主に刷り込まれたんですよ」
ヨシアキ大佐が寂しそうに呟いた。
「は? 」
「うちの婚約者もスキルのチャームを持ってて、それを頭の中に練り込まれたと言うか」
「へ? 」
何ですか?
その物騒な話は……。
「少しだけ食らうならたいしたこと無いんですが、相手がうちの家として御恩があり逆らえない家だった為に、子供の頃から延々と自分に似たタイプにほれ込む様に受け続けまして……」
俺の顔が凄い表情になったのか、ヨシアキ大佐の後ろにいた王太子付きの衛兵が凄いびびってる。
怖すぎ。
何それ。
光源氏みたいに子供の時から嫁を育成するような奴かよ……。
「この国おかしいよな」
「いや、まあ、確かに」
「いや、お前が言うか? 」
いきなり、後ろから声を掛けられた。
誰かと思えばカルロス一世だった。
「え? 」
「いや、お前自覚ないのか? この国の歪みが一心に集まったような性格してるくせして」
「私、自慢じゃありませんが、向こうの世界の産まれでして」
俺が笑って答えた。
「じゃあ、義兄の教育という事か」
「おっしゃる通りでございます」
俺が揉み手をしながら笑った。
「おいおい、俺が何だって」
親父が後ろから苦笑して出てきた。
「おや、昨日まで土気色してたのに復活ですか」
「ああ、良く考えたら、大変なのお前だしな」
親父が破顔した。
「そう言ってたって母さんに言おう」
「くくくっ、貴様」
親父と俺が睨み合う。
「良く似た親子だわ」
カルロス一世が横でため息ついた。
もう一個の方も来週にしょうかと思ったけど、今日から一個ずつ投稿して行きます。
いつも、読んでくださって本当にありがとうございます。




