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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第二十五部 第四章 開戦

「おや? どうやら<終末(おわり)の子>が帰ってきたようだね」


 王宮の高い所から、大きく叫ばれた。


 皆がしんとなってそちらを見る。


 潰れた肉まんが喋ってる。


「ほう? マリナじゃないか? 捕虜になったのかい? そうは見えない感じだね」


「マリナじゃありません」


 マリナが変顔して答えた。


 はっきり言って、ばればーれ。


「はっ、このデスピナ様が見間違う訳ないだろ! 」


 潰れた肉まん、デスピナが叫んだ。


「ちっ! ババアが出て来るんじゃないよ! 」


 マリナが叫んだ。


 まあ、口が悪い。


 って待て?


 ババアだと?


 遠くで見えないがババアなのか?


「え? 老けてんの? 」

 

 俺が驚いて聞いた。


「三十九だか四十だと思った」


 マリナが答えた。


「嘘、ババアじゃん」


 俺が焦った。


「おい、俺の嫁の前で言うなよ、命が無いぞ」


 カルロス一世が固まった顔だ。


「了解しました」


 カルロス一世に敬礼して答える。


「私も言わないで欲しい。せつない」


 ヨシアキ大佐も横で呟いた。


「え? 」


(ぬし)だって言ったでしょ」


 ヨシアキ大佐の顔が暗い。


 重い、重すぎる。


「いい度胸だマリナ。あんたも粛清だね」


 デスピナが笑った。


「はっ、やれるもんならやってみな! 」


 マリナが叫び返した。


「良いだろう。さて、<終末(おわり)の子>とか、この国の国王は人質にした。お前が来ないと国王は死ぬことになるぞ」


 デスピナが脅すような素振りで笑った。


 まるで舌なめずりをするような雰囲気だ。


「殺すなら、殺しなさい! 」


 レイナさんが叫んだ。


「って? え? 」


 俺も思わず、びっくりしたが、皆も息を飲む。


「大丈夫。私と一緒にこの国を建て直しましょう」


 レイナさんが俺に凄い笑顔だ。


 やべぇぇぇぇ。


 宰相とイジュウイン大公とサイトウ公爵が涙を静かに流してる。


 子供が出来て悲壮な顔で参加してる白人さん達が凄い顔してる。


 自分の子がこうなったら嫌だろうな。


 見てて思う。


「明日は我が身だな」


 カルロス一世も複雑な顔した。


 胃が痛い。


「よし、いい度胸だ。女はそうでなくちゃいけない」


 デスピナが破顔して答えた。


「さあ、お前達、私の為に戦っておくれ」


 デスピナが叫んだ。

 

 それと同時にピンク色の光が俺達のまわりに迸る。


 何だ、これ?


「気を付けて! あいつのチャームだ! 心を強く持たないと相手に魅了されるよ! 」


 マリナが叫んだ。


「魅了って……無謀じゃね? 」


 俺が素で言った。


「難しくない? 」


 カルロス一世も横で素で言った。


「ち、ちょっと、素で言わないでよ」


 マリナが慌てて答えた。


 いや、だって何という無謀な力なんだ。


「昔、綺麗だったのかな? 」


 俺が聞いた。


 まあ、それなら分かる。


「いや、それは……」


 マリナが言いよどんだ。


 潰れ肉まんのままかよ。


 すげぇ、スキルだ。

 

 


  



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