第二十四部 第八章 鈴(すず)
とりあえず、ヤマトの爆発した港の方へ、豪華高速帆船を戻す。
俺達が甲板に出ると結構な爆発が港の方で起きていたのが分かる。
目の前に何だか知らないけど、旭日旗をつけたイージス艦がいる。
「あれ、自衛隊のこんごう型護衛艦じゃね? 」
俺が船の旭日旗を見た。
「え? 自衛隊も参加してんの? 」
ミツキも少し驚いてる。
「……いや、それは無いだろう。まさかと思うけど、まさかかな……」
親父の雰囲気が変わって脂汗を流してる。
「何、まさかって……」
ミツキが親父を睨む様に聞いた。
イージス艦の舳先に着物を着た少女がいる。
「あ、鈴だ」
紅葉が凄い顔してる。
恐怖と困惑が入り混じったような顔だ。
「え? ちょっと、旦那の婚約者って鈴なの? 」
恋が真っ青な顔で聞いた。
「……」
親父が脂汗を流しながら無言だ。
「えええ? 何で、あんなトンデモナイのを! 」
紅葉が震えてる。
すいません、横で聞いてて胃が痛いんですけど。
甲板にずらずらと市松人形が現われる。
全部、自分で動いてるんですけど。
「あの子、付喪神みたいにして、無機質の人形とか物を全部生命があるみたいに動かせるのよ」
恋の顔が引き攣ってる。
「そんな、凄い奴が日本にいたのか? 」
麗が驚いた。
「居るも何も、すっごい有名だよ。タチが悪くて話すのがタブーになってるくらいだけど。つまんない事で怒ると、すぐ相手を殺すの。ぬいぐるみとか相手の部屋にあったら操れるからね。しかも、証拠も残らないし」
紅葉が答えた。
「何だ、そのヤバイ奴」
カルロス一世が驚いた。
「ちょっと、船をシーサーペントに引かせて、あのイージス艦から離れて欲しいんだけど。確か鈴から三百メートル近くに入ったら、全部操られるから! 」
恋がアオイとミツキに叫んだ。
「分かりました。シーサーペントに船を引かさせます」
アオイが答えて指示を出した。
「何で、お義父さん! あんな化け物選んだの? 」
紅葉が動揺して叫んだ。
「ええ? いろいろ言われてるけど、着物の似合う良い女性かと……」
親父の顔が土気色のままだし、さてはヤバイ奴だと薄々知ってたのか?
「ええ、日本史上最悪の殺戮者とか凄い陰で言われてたのに」
恋も呆れ果てた顔をした。
「うわぁ、凄い嫌な予感……」
クニヒト大佐が愚痴った。
イージス艦から拡声器のような声がする。
「だんなさまをかえしなさい。おいていくならなにもしません。でもおいていかないならみなごろしです」
声が四歳か五歳のような少女の声だ。
え?
ホラーなん?
「うわぁ、僕らの事を魔とか言ってるけど、よっぽど、あの子の方が魔じゃない? やばいよ、あれ」
カガが凄い顔してる。
「なぜふねがにげるの? わたしとあのかたをはなすき? そうなのね。そうなのね。やはりぜんぶころさないとだめなんだ。みんなみんなしなないとだめなんだ。じゃあころさないと。かわをはいで、つめをはいで、めをえぐらないと」
可愛い声で淡々と凄い事言ってる。
「あれ、大丈夫なのか? 兄弟」
アポリトの顔が蒼白になっている。
「すまん。俺の嫁なんか比べ物にならないくらいヤバイ」
カルロス一世の顔の方は真っ青になった。
「お、親父……」
俺が親父を見ると土気色の顔をしたまま固まっている。
皆の顔がカラフルだなんて、思ってる場合じゃ無い。
「イージス艦に追っかけられたら、流石にシーサーペントが引っ張っても逃げ切れないんじゃないの? 」
ミツキが苦い顔をした。
「わたしのあいするかたへ。いまいきますね」
凄い怖い事を言われた。
イージス艦の舳先から、市松人形が次々と海に降りてくる。
しかも、全部、海の上を走って、こちらに来る。
これは予想外だ。
イージス艦で来るのかと思った。
逆に怖すぎる。
海面をひた走る百を超える市松人形ってどうなの?
「「「「「いやぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁ? 」」」」」
男が全員悲鳴を上げた。
怖すぎる。
遅くなりました。
やべぇ、いろいろと忙しくて、とうとう作品の貯金もやばくなって来ました。
なんとかせんと。
もう一つも一部書き終えたら投稿します。
でも、別の作品も思いついて、つついてると言う馬鹿な話w
汁。
とりあえず、貯金っすね。