第二十四部 第六章 カガ
「と言う訳で、これからは私も一緒に同行させて貰う。一応、<終末の子>の見届け人としてと、君の護衛と言う意味も込みでね」
それが俺に向って言った。
「それと、それ呼ばわりはやめて欲しいな。僕にもカガと言う名前がある」
カガ?
蛇の古語か?
俺がそう思ったら、カガがニッコリ笑った。
「さてと、そろそろ許嫁さん達も港の船の前に来てる頃だろう。出航しようか? 」
「は? 」
「やばいのが来てると言ったでしょ。逃げないと」
「待ってください。国王にお伺いしないと」
ヨシアキ大佐が聞いた。
「いや、それなら、君が降りて国王に<終末の子>が逃げたと騒いでくれるように頼んでくれ。でないと国王達が捕まって拷問されるかもしれない」
「なるほど、ヤマトから出て言ったと騒ぎにさせて、目を逸らさせるわけか」
親父が納得したようだ。
「うん。かなりやばいからね。出来れば、カザンザキスさんとか言うんだっけ? 彼にも連絡と言う事であちらでもそちらに逃げるかもとヤマトから頼んで捜索させた方が良い。勿論、パトリダには帰っていないと明確にさせてね」
「何で、こんな馬鹿な事に」
「それはシュウジに言ってよ。アマゾネスだけなら、まだ手はあったんだけど、これじゃあ無理だ」
カガが俺に言った。
「おや、君の許嫁は凄いね。皆、船に飛び乗ってきたよ」
ミツキとアオイ達が食堂に乗り込んできた。
「何かあったのかと思えば、この方はどなたです? 」
アオイの目がカガを見た途端殺気立つ。
「あれ? また、新しい女の子なの? 」
ミツキも鋭い目でカガを睨んだ。
「いや、この人は例の太古の古の血の人で……」
俺が慌てて説明した。
「で? 女性なんですか? 」
アオイの目がメスカマキリの目になる。
ミツキなんかも皆、メスカマキリの目に変わっていく。
怖い。
「あれ? 結構、アオイちゃん達思ってたより怖いね」
カガが笑ってる。
笑えません。
「母ちゃん程じゃないけど、これだと大変だな」
親父が苦笑した。
くっ、涙が出そう。
「とりあえず、申し訳ないけど、僕は女とか男とかそう言う性別とは別物でね」
カガが答えた。
「え? 新しい世界なの? 」
なぜか、さくらが笑顔で食い付いた。
せつない。
「とりあえず、そう言う風な関係で無くて、君達を守りに来たんだけどね」
カガが苦笑した。
「守りに来た? 」
アオイが首を傾げる。
「ああ、凄く厄介なのが向こうの世界から来る。とりあえず、ますば出航するべきだと思う。我々が出航した後の事はヨシアキ大佐、お願い出来ますよね」
「うわぁ、しょうがないけど、引き受けますよ。正直、王宮で揉めそうだな」
ヨシアキ大佐が頭を抱えた。
「まあ、俺はとりあえず、息子に迷惑かけたみたいだから、ついていくわ。兄貴によろしく言っておいてくれ」
親父が破顔した。
軽い。
そしたら、首を振りながら、アポリトとクニヒト大佐が食堂に出てきた。
「「え? 修羅場? 」」
カガとアオイ達を見て、同時にアポリトとクニヒト大佐が聞いた。
「違います」
俺が否定した。
勘弁して欲しい。
遅くなって、すいません。