第二十四部 第三章 豪華高速帆船
クニヒト大佐とともに部下が護衛がついて来てくれると言うので、食糧を買い込んで、一緒に持ってきて貰った。
「本気で義兄はお前を王太子にする気なのかね? 」
カルロス一世が聞いてきた。
「さあ、勝手に決められても困るんですけど」
「一応、俺には次の国王にしたいって言って来たぞ」
親父が笑った。
「え? マジ? 何て答えたの? 」
「いや、逃げるんじゃね? って答えた」
むぅ、流石は親父だ。
良く分かってる。
「え? 逃げるの? 」
カルロス一世が驚いて聞いてきた。
「当たり前じゃないですかって……答えちゃった」
「まあな。めんどくさいのは嫌だもんな」
親父も破顔した。
「あ、そうすると、えらく護衛がついてくるのって」
「逃がさんようにしてんじゃないの? 」
「うわ、マジか」
「ああ、それは言われてますわ」
ヨシアキ大佐が答えた。
「マジ? 」
「マジ」
俺が聞いたら、ヨシアキ大佐が真顔で答えた。
「まあ、お前なら、逃げれるだろうよ」
「なんか、こう、良く似てますよね。お義兄さんと」
カルロス一世が俺と親父を見てちょっと無表情だ。
「あれ? 叔父さんならヒトミさんとアイさんは妹だけど、ルイさんが親父のお姉さんだから、義弟でもいけるんじゃ? 」
「いや、こんな年上の義弟はいらない」
カルロス一世が笑った。
そうこう言ってるうちに俺の豪華高速帆船のあるところまで来た。
早く名前をきめたいのだが、許嫁同士の意見の対立が凄く怖かったので、つけるの止めたのだ。
「おーい、アポリト! 」
俺がアポリトを呼んだ。
しかし、返事が返ってこない。
「アポリトさん! 俺達です! 」
ヨシアキ大佐が叫んでみた。
「どっかに、買い物に行ってんじゃないか? 」
カルロス一世が俺に聞いた。
「いや、あいつはトラウマあるから、本当に上陸は無理だと思うんですが……」
「もう一人は絶対無理ですよ。嫁に見つかれば、今度はどうなるか分かんないですし」
「じゃあ、何だ? 何かあったと言う事か? 」
カルロス一世が少し身構えた。
「敵意は感じないけど、誰かいますね」
俺が船の中をじっと見た。
「アポリト以外がいるってのか? 」
「ええ、そんな感じです」
俺が答えた。
「うーん。こりゃ、懐かしい奴かな? 」
親父が突然訳が分かんない事言いだした。
「どういう事? 」
「とりあえず、船の中に入ってみようぜ」
親父が笑いながら、船のタラップを俺の豪華高速帆船につけると、船内に軽い足取りで入っていった。
仕方ないので、俺達もついて行くことにした。