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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第二十三部 第九章 仲間の愛

「え? 二重人格ってどっちが起きたの? 」


 親父が奇妙な事を俺とミツキに聞いた。


「え? 私の方だけど」


 ミツキが驚いて答えた。


「マジか。思ってたより早いな」


 親父が驚いてる。


「どういう事です? 」


 樹老人(じゅろうじん)が睨むように親父に聞いた。


「おおざっぱな事しか知らないけどね」


「私にも聞かせて貰いたい」


「いや、それは無理だろ。そっちはそっち側で聞いてくれ」


 親父が困ったように答えた。


「何か女媧(じょか)殿がなさったとでも? 」


「出来るわけないだろ? 上の上だよ」


 親父が上を指差した。


 樹老人(じゅろうじん)が凄く驚いた顔をした。


「まあ、父親として言っておく。二人とも思った通りにやれ。もう一人の奴の思うとおりにさせるな。まあ、これだけかな」


「え? と言う事はヤバイ奴なの? 」


 俺が不安そうに聞いた。


 ミツキも困惑してる。


「いや、やばい事は無い。断言するがな。非常に正しい事だろうよ。ただ考え方が違う。上の上は凄い永い永いスパンで考えるから、お前とは違う判断をする可能性が高い。でも、それはお前の人生で考えたら違うだろ? だから、思った通りやれ。正直、俺みたいな超下っ端じゃ、それしか言えんわ」


 親父が困ったようにだけど、本当に見た事も無い位に優しい顔で俺達を見た。


「良い話の時にすまんが、アマゾネスは諦めるのか? 」


国王と宰相やホアンが見ている。


「むぅ、とりあえず、目の前の触手の話を大切にしろと言う話だな。親父」


 俺が親父に聞いた。


「うむ。その通りだ」


 親父が胸を張って答えた。


「良い話が台無し」


 ミツキが呆れた顔をする。


「何か、何か、手は無いのか」


 俺が忌々しげに爪を噛んだ。


「「いや、目の前の大事な事はこっちの話だろう? 」」


 (ひな)とウィリアム少佐が茫然としてる。


 だが、俺や親父をはじめ国王達はそれを無視した。


 その時だ。


 奇跡が起こった。


 アマゾネスの船が一斉に何か白いものに押されて戻ってくる。


「な、何だあれは? 」


 国王が叫んだ。


「白いものが束になってアマゾネスの船をこちらに押し戻してる」


 宰相が震えるような顔をした。


「こ、これは? 」


 ひときわ大きな白いものがザバリと海に顔を出して、こちらに笑顔を見せるようにクーと言った。


「ま、まさか、シーサーペント達が……お、俺達の為に……」


 俺の目に涙が浮かぶ。


 国王も宰相もイジュウイン大公たちも涙を爆涙させた。


「ふっ、これが仲間思いのシーサーペント達の仕業とは」


 親父も指で目を拭った。


「すばらしい」


「神の生物だ」


 周りにいる衛兵達がざわめく。


「おい、こっちの世界って馬鹿しかいないのか? 」


 (ひな)がすんごい顔してる。


「ふっ、いつまでも子供の心を持った男達と呼んでほしい」


 俺が(ひな)に笑った。

 

 横で親父が頷いている。


「まさに、心は子供、身体は大人とコ〇ン君の反対バージョンですな」


 イジュウイン大公が良い笑顔だ。


「それ、単なる困ったおじさんじゃないのかの」


 樹老人(じゅろうじん)が無表情に答えた。


 シーサーペントに追いやられて、ドンドンとアマゾネスの船が岸に近づく。


「お前達の努力。無駄にしないぜ! 」


 ホアンがシーサーペイント達にキラリと歯を輝かせて、海にザブリと飛びこんだ。


 

 





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