第二十三部 第七章 ルネッサンス
俺達が大至急、大穴のあった後の近くの港に向かうと、調査の為に来ていた科学局の局長さんが、凄い困っていた。
国王達に振り回されて、心労からハゲになったと言われているカツラさんだ。
俺のコゴロウネームで言うと親戚に当たるのかもしれない。
「陛下、調査はどうなさるんで? 」
カツラさんが困惑したように国王に聞いた。
「今、ルネッサンスなんだ」
国王が真剣な顔して答えた。
「は? 」
カツラさんが唖然としてる。
「孫達の胎教がかかっているんだから、まずは後回しだよ」
宰相も厳しい顔だ。
カツラさんがすげー顔してる。
「ふっ、芸術などお前には、わかるまい」
親父が浴衣でカツラさんの横を一瞥するように通った。
カツラさん、すげぇ可哀想。
しかし、お蔭でいよいよ眼福が見れる。
素晴らしい。
ホアンさんのやる気が凄い。
俺がそう思ったら、ホアンさんがタコの足で髪の毛をふっと払った。
やべー、カッコいい。
早速、皆で、アマゾネスの船がいる場所まで行くと、何故かそこにボロボロになった雛とウィリアム少佐がいた。
「あっ、雛っ! 」
嬉しそうに恋と紅葉が雛の元へ走っていった。
本当に腕を捻られたらしく、木の棒と切った布で固定されて痛々しげだ。
「恋っ、早くここから逃げるんだ。ここにはとんでもない化け物がいる」
雛が必死だ。
「あ、魔人でしょ、皆で倒したよ」
紅葉が笑って答えた。
「ば、馬鹿な。あんな化け物が倒せるものか! 」
「倒したぞ」
麗が雛に告げた。
「お前は祝融殿の所の麗。強いとは聞いていたが、お前が倒したのか? 」
「いや、あの二人」
麗が俺とミツキを指差した。
「嘘だろ? あんなハーレム野郎に何が出来る」
「まあ、一気に倒したのは妹のミツキの方だけど」
麗が笑ってる。
「ホ、ホアン……生きていたのか」
ウィリアム少佐が驚いたようだ。
ホアンが少し動揺して顔を伏せたが、少し考えて何かを決めたかのように顔をあげた。
「いや、私はヤマト伝統の触手職人です」
「は? 」
虚を突かれたようにウィリアム少佐が唖然とする。
「君の言うホアンとやらは、こんな足はしてないだろう? 」
言いながら、ホアンが自分のタコ足を見せる。
何と言う自虐。
「ま、まさか。貴様らホアンを改造したのか? 」
ウィリアム少佐が凄い殺気をほとばしらせながら叫んだ。
「まあ、待て、彼はホアンでは無い。タコ足職人のハッチャンだ」
親父がウィリアム少佐の前に出た。
ネーミングセンス悪っ。
「そんな馬鹿な事があるか! 」
ウィリアム少佐が激怒した。
むぅ、まずい。
こちらが立てこんでると見たアマゾネスが接岸するかどうか迷っている。
このままではアマゾネス達が逃げてしまう。
そしたら、この心を読んだホアンが俺に真剣な目を向けた後にウィリアム少佐に言った。
「ハッチャンダヨー」
くっ、何でカタコト。
ウィリアム少佐の顔が凄い歪んだ。
多分、ホアンならこんな事しないと思ってるんだろうな。
俺がそう思ったら、俺の心を読んだのかホアンの目に涙が浮かんだ。
せつない。