第二十三部 第五章 おもてなし
早速、今回の被害を受けてない所の料亭でホアンさんへのおもてなしが始った。
料亭の方が次々と豪華な料理を持って来る。
二メートルくらいある巨大な船盛りの刺身。
小鍋に入った、ヤマト特産の超高級霜降り肉のすき焼きとステーキ。
新鮮な蟹のしゃぶしゃぶ。
俺でも、こりゃ、金かかってるなと思う贅のつくし方だった。
まあ、料理の統一感無いけど。
そして、上座に座布団をいくつも敷いて、タコの足で濡れようと構わず、そのままホアンさんに座って貰った。
「ちょっと、調査はどうなったのよ? 」
ミツキが怒った。
「いや、まずはホアンさんへのおもてなしだ」
俺がミツキを制するようにした。
「えええ? そもそも敵だったんじゃないの? 」
ミツキがさらに怒った。
「毒の剣で刺されたよね」
深雪も横で厳しい目をしている。
「いやいや、そういう戦いを乗り越えて、今は仲良くせねば」
良く考えたら、下半身が無くなって、タコになってるんだから、その方がキツイしな。
前から、無表情なんで、良くわかんないが、困惑してるのだろうか。
「いや、何でこうなったのか、自分でも良く分からなくなってな」
ホアンが俺の考える事に突っ込んてきた。
ああ、そうか、心が読めるんだった。
「そうだよ。だから、敵なのにお前達に全く敵意が無いからどうしていいんだか」
「いやいや、我らは触手と言う伝統芸を持つ方に敬意を抱いておりますから」
国王が笑った。
「日本もおもてなしで売ってるのだから気になさらずに」
俺も笑顔で答えた。
「やはり、無料でやっていただくと言うのは失礼だからな」
国王がパンパンと叩くと大きな金の延べ棒が八つ乗った三宝がそっと着物を着た女性によってホアンの前に置かれた。
金の延べ棒の大きさがあちらと違い、ブロックのようだ。
正直、あちらの価格でも、この大きさなら全部で数千万は軽くする。
ホアンが驚いた顔をした。
「さささ、お奉行様はやはり、この山吹色のお菓子でございましょう」
ノリノリで宰相が笑った。
うむ。
まさに、ジャパンだ。
ここで、お主も悪よのうだな。
「お、お主も悪よのう? 」
ホアンが俺の心を読んでそう言った。
素晴らしい。
まさに、ジャパニーズおもてなし。
国王と宰相とイジュウイン大公が大喜びで手を叩いた。
そこに伝令が急報だと言う事で、慌てて入って来て国王の前に跪いた。
「また、アマゾネスの船が三隻、港に現れました」
「むう、来たか」
国王ががばっと立った。
何と言うタイムリー。
素晴らしいぞ、アマゾネス。
宰相とイジュウイン大公とカルロス一世が立ち上がるのに合わせて俺も立ち上がった。
「さ、先生、宜しくお願い致しますよ」
国王がホアンに頭を下げた。
「旦那様はここで待つんですよね」
アオイがメスカマキリの目で聞いた。
許嫁達が次々とメスカマキリの目に変わる。
くっ!
しれっと皆について行く計画が台無しだ。
どうしたら良いんだ。
「話は聞いたよ」
脂汗を俺がだらだらと流していたら、隣の部屋から声がかかった。
評価ありがとうございます。
今日は少し早く入れます。