第二十三部 第三章 謁見の間
戻ると国王から遺跡の調査を手伝ってほしいと言われた。
珍しく、断れないように謁見の間に呼ばれたのだ。
正式なルートで呼ばれたので、仕方なしに許嫁やカルロス一世とダグダ師匠や樹老人さんと行く。
「すまないけど、頼めるか? 」
「え? えくすかりばぁ君の事で娘達に怒られた復讐ですか? 」
そう言ったら、うちの許嫁が全員メスカマキリの目で国王を威嚇した。
麗やマリナや恋や紅葉どころか、深雪やさくらまで出来るってどうよ。
怖いんですけど。
「いやいや、何が起こるか分からんから、お前に行って貰いたいだけだよ」
国王が震えながら答えた。
横に控える宰相とイジュウイン大公も震えてる。
殆どホラーだ。
「俺、商人なんですけどね」
「いや、王太子だろ? 」
「まだ、言ってんですか? 俺が国王になったら、女系になっちゃうでしょ」
「いや、お前、王家でその世代で唯一の男なんだぞ? 」
「いや、俺二重人格だし、王位なんて無理ですよ」
「よほど、その設定が気に入ったんだな」
「だって、やっとヒーローっぽくなって来たのに」
「別に、ひょっとしたらそうじゃないかな? って話だぞ? お前の二重人格説って」
「いゃぁぁぁああぁ! 聞きたくない! せっかく、心が躍る話なのに! 」
「二重人格ってそんなにカッコいい? 」
ヨシアキ大佐が聞いた。
「何か、格好良くない? 何か、陰がある感じで」
俺が目を輝かせた。
「でも、基本ヤマトはさっき話した通り、皆、女性関係で陰があるでしょ」
ヨシアキ大佐が決定的な事を喋った。
「「「「「「ああ」」」」」」
カルロス一世まで皆が小声で頷いた。
そう言う陰はいらないんですが。
許嫁達の目が細くなったのが怖い。
「とりあえず、頼むよ。うちとしても強い奴じゃないと行かせれないし。まだ、お前の敵と向こうの婚約者とやらも出てくるかもしれんし」
「ああ、そんなのいましたね」
もう会いたく無いんだけど。
「とりあえず、再開発の時は、お前のスーパー建てても良いから」
国王が頭を下げた。
「まあ、そういう事なら」
俺が快諾した。
「やっぱり、まだ商人にこだわるんだ」
宰相が聞いてきた。
「いや、だって、国王も宰相も幸せそうに見えないし」
国王と宰相が物凄い顔して蹲った。
「俺までダメージ来るから止めて」
背後でカルロス一世が蹲りながら呟いた。
せつない。