第二十三部 第二章 和真
なんか、延々とえくすかりばぁ君のさよならイベントが続くので、それとなく抜け出して逃げた。
許嫁のお仕置きなどで、皆の視線が国王と宰相に集中してたので逃げやすいのもあったからだ。
やはり、カルロス一世とヨシアキ大佐も逃げて来た。
「お前の嫁、段々やばくなるな」
カルロス一世が困惑してる。
「いや、俺も何とかして欲しいんですけど」
「いや、俺に言われても困るが」
結局、結論は出ない。
王宮のいつもの中庭に出ると、へべれけになって寝てる爆龍王ゴウオウが寝てた。
誰も、怖くて近寄れないから、テープかなんかで囲ってある。
なんか、殺人事件でもあったようだ。
「何で、こんなとこで、爆龍王ゴウオウが寝てんの? 」
「国王達に嘘みたいに酒貰って飲んでたからな」
ヨシアキ大佐が笑った。
「お酒好きだけど、弱いみたいなんだよね」
お酒に弱い龍王ってのも、ちょっと不思議だけど。
て、横みたら、前にクニヒト大佐が座ってたベンチに和真が座ってる。
なんか、げっそり痩せてる。
「ななななな、何してんの? 」
ぐぎぎぎぎぎって感じで、和真がこっちを向いた。
「ハーレムって……何か違うくね? 」
「やっと、分かってくれたか」
俺が優しく答えた。
「良い人生経験をしたようだな」
カルロス一世も優しい笑顔だ。
「あれって、血が出るんだね……でも、何? エンドレス回復魔法って何なの? 」
和真が震えるように真剣な顔をしてる。
「むぅ、ヤマトの伝統芸だな」
「2日間続けちゃった。 寝ずに食べずに228回だよ」
「惜しいな、俺、こないだ298回やったから」
俺が笑顔で答えた。
「ふっ、俺の363回にはまだ足りないな」
カルロス一世が笑って胸を張った。
「どうしょう。いきなり12Pだったよ? 」
「「あー、それは負けるな」」
俺とカルロス一世が笑顔で答えた。
「何なの、子供が出来やすくなる薬って……」
和真が、あの和真が泣いてる。
スルトを目覚めさせ、暴虐な事を平気でやってた和真が泣いている。
ほっこりした。
「は? 」
カルロス一世が凄い顔してる。
「何それ? 子供が出来やすくなる薬? 」
カルロス一世の動揺がハンパ無い。
「ああ、ヤマトの新薬らしいですよ」
「ええええええ? 何て恐ろしいものを作るんだよ! 」
カルロス一世の動揺の方が凄くなってきた。
「いや、もう、うちもガンガン使ってますから」
俺が力の無い笑顔で答えた。
「マジかよ? 」
カルロス一世が、その場に跪いた。
「そういや、ヨシアキ大佐ってあんまり、そう言う話聞かないよね」
「ああ、俺、修羅の主みたいな人と婚約しちゃったから」
ヨシアキ大佐が辛い顔をした。
「は? 」
「修羅のトップランクとは別で、めんどくさい残りものみたいな主と言われる人がいて、そう言う人と婚約すると、猛禽も修羅も怖がって近寄ってこないんだよね」
何だろう、初めて見るヨシアキ大佐の寂しそうな笑顔だ。
何て、切ないんだ。
「あ、いたいた! 」
「ダーリン、みーつけ! 」
相当な美人の女性達が十一人、和真を見つけて走り寄る。
「あ、お前、王宮に掴まってたの? 」
俺が聞くと和真がコクコク頷いた。
「馬鹿だなぁ、もっと遠くに逃げないと。これから朝のもう一度になっちゃうぞ」
カルロス一世がデジャブを見るように答えた。
「さ、ダーリン。行こう! 」
女性達が和真を引き摺って連れて行く。
逃げても無駄だと理解して、女性達に引き摺られるままになっている和真を見て、中学生の時に音楽の授業で習ったドナドナの歌を思い出した。
ほっこり。




