第二十二部 第十章 シーサーペント
穴のあたりが輝いた。
「門を開きおったな」
樹老人が厳しい顔をした、
と、同時にリヴァイアの猛爆攻撃が着弾する。
地面が揺れて、震えるような轟音が起こる。
それと少しずれたくらいで、爆龍王の最大の攻撃が発射された。
グアルダで撃とうとして辞めた奴だ。
リヴァイアの猛爆攻撃に勝るとも劣らない……いや、恐らく、それに勝る爆発が起こる。
「うわぁ、無茶苦茶する! 」
修羅一の人が悲鳴をあげた。
激しい轟音が静まった後、狒々達の叫び声がするが、すぐに海がなだれ込んで、悲鳴のような叫びに変わる。
「ミツキ、、アオイ、シーサーペントに食いまくらさせろ! 」
俺が叫んだ。
「え? 結局、踊り食いなん? 」
ミツキが呆れた顔をした。
「そーです」
抑揚のない返事を返す。
「大丈夫です。リヴァイアの周りにいたせいで、そのまま海の流れと一緒になだれ込んで来てます」
アオイが答えた。
「ねー、あの狒々ってシーサーペントが食べて大丈夫なの? 」
ミツキが少し心配してるようだ。
「大丈夫、俺達だって、ゾンビ汁を試食したし」
俺が答えたら、ダグダ師匠が吹いた。
「何だよ、そのゾンビ汁って? 」
カルロス一世が聞いてきた。
「ファウロスとアオイが料理勝負したら、ファウロスがゾンビの鳥を茹でてスープ作りやがったの」
「げー」
カルロス一世が吐きそうな声を出した。
狒々達が流れこんでくる海に巻き込まれながら、次々とシーサーペントに食われていく。
「ちょうど、昨日、餌をもらってないみたいなんで、良かったですね」
アオイが笑った。
狒々の悲鳴が辺り一面に拡がる。
まさか、こちらの世界に来た途端、おぼれて食われるとは思うまい。
そうしたら、シーサーペントが悲鳴をあげた。
聖王と魔人が乗ってた巨大な三十メートルはあろうかと言う狒々に胴体を掴まれて、絞められている。
ただ、シーサーペントも三百匹近くいるので、仲間が狒々の掴んでる手を齧りまくってる。
「ほぅ、やはり鬼狒々か。太古の奴等が狒々の王として祭ってた奴だな。面白い。この爆龍王ゴウオウ様が相手をしてやる」
などと勿体ぶって爆龍王ゴウオウが名乗りを上げてる間に、リヴァイアが突撃して、鬼狒々と呼んだ巨大な狒々に体当たりをした。
「ちょ、わしの出番持っていくなや! 」
爆龍王ゴウオウが大慌てで加わった。
「なんか、ファウロス思い出してほっこりするわ」
俺が思わず爆龍王ゴウオウに笑った。
「ほっこりするな! 」
すぐさまも爆龍王ゴウオウが振り返って、ツッコンできた。
「相変わらず、ノリがいいね」
ミツキも笑った。
「「「「「ほっこり」」」」」
俺を含めて何人かが同時に言ったので、向こうから喧しいと騒いでる。
相変わらず、ノリが素晴らしいな。
「で、勝ったつもりなの」
心まで凍るような声でいきなり問われた。
気が付いたら、俺の聖樹装兵の上に魔人が乗ってる。
「あぁぁああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
また、悲鳴のような絶叫を上げると、魔人の全身が倍くらいに膨れ上がった。
俺の聖樹装兵の装甲が風化したような感じに微妙になって来た。
「こいつ、こっちのエネルギーを吸い取ってるのか」
俺が吐き捨てるように言った。
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