第二十二部 第九章 狒々
猛爆攻撃の爆風で火が走って、風化してた人間や巨人まで全部燃え出す。
それを攻める好機と見て、俺が対地対艦ライフルに換えて、一直線に穴の方に飛んでいく。
「嘘でしょ? ここで畳み込む訳? 」
修羅一の人が呆れたように叫んだ。
俺の動きに合わせて、龍女さんとミツキとアオイと麗とイオナまで皆が対地対艦ライフルに換えた。
俺に呆れた雰囲気は出したが、カルロス一世とダクダ師匠も俺達に合わせて対地対艦ライフルに換えた。
そして、一気に穴の周囲に並ぶと全員で対地対艦ライフルを撃ち込んてだ。
穴の周囲がボコボコと溶岩のように崩れ出す。
周りの街も崩落するかのように崩れ落ちていく。
その場で穴の方を警戒しながら全員で聖樹装兵で退避の為に飛んだ。
「嘘だろ」
崩れ落ちた深い底のあたりに巨大な遺跡が出現する。
しかも、中央には体長三十メートルほどある巨大な狒々と、その上に乗っているボロボロの布を貫頭衣のように来たボサボサの女性と聖王がいた。
恐らくボサボサの女性が魔人なのだろう。
聖王も全身に毛が生えて目が赤かったが狒々の姿に似ていると言えば似ている。
魔人によって、巨大な結界が張られており、それがこちらの攻撃をすべて阻止した様だ。
「あ、あれ! 」
ミツキが遺跡の壁を指差す。
遺跡の中の壁の中に大きさが三メートル程度の狒々が大量に見えて、しきりと遺跡の壁の中からこちらを叩いてる。
「遺跡自体がどこかの世界とつながってる形みたいだね」
ダグダ師匠がじっと見つめてる。
「コンクリでもあればなぁ」
「は? どうすんの? 」
俺の呟きにミツキが反応した。
「いや、めんどくさいから埋めちゃえばと思ってさ」
「そりゃ、埋めりゃ何とかなるかもしんないけど」
ミツキがちょっと呆れ気味だ。
確かにコンクリが無いもんね。
「ここ、凄いえぐれてるから深いよね」
俺が遺跡を見て呟いた。
「まあ、深いっちゃ深いな」
カルロス一世が答えた。
「ざっと深さは三百メートルはあるな。よし、リヴァイアに頼んでほしい。ここと海との間に猛爆攻撃をしてくれって 」
「また、海を呼ぶわけね。でも、この深さじゃ、溺れないんじゃないの? 」
「溺れさせるんじゃないんだ。頼む、早くやってくれ」
「分かった」
ミツキがすぐ答えた。
「もう少し近ければ、テューポーンが使えるんですけど」
アオイが少し残念そうだ。
「わしも何か手伝えるか? 」
いきなり、高空から声をかけられた。
誰かと思えば爆龍王ゴウオウだった。
「ちょうど、良い所へ来てくれた。ここの穴に海を流し込みたい」
「また、糞みたいな事しようとしてるな? 」
まだ、爆龍王ゴウオウは、こないだの事を根に持ってるようだ。
でも、やらなきゃ仕方ないし。
「海とこの穴の間の土地を、リヴァイアの猛爆攻撃の後にもう一発駄目押しで叩き込んでくれ」
俺が爆龍王ゴウオウに叫ぶ。
「やれやれ。本当に前みたいなのはごめんだぞ」
言いながら、爆龍王ゴウオウが翼の広さを数倍に広げた。
そして、その翼が赤い火炎に包まれる。
その時、時間差で狒々の姿の聖王が両手を広げて、そこに光り輝くものを出した。
「あ、えくすかりばぁ君だ」
許嫁達が騒ぐ。
「門を開く気じゃな」
ダクダ師匠の聖樹装兵に掴まっている樹老人が焦ってる。
「全員に退避を! 」
俺が言って、聖樹装兵でしっかりと爆風から身を守れる場所へ飛んで逃げる。
皆もそれに続いた。
「直接、魔人とやらに、ぶち込んだ方が良くないか? 」
カルロス一世が聞いてきた。
「いや、あの結界がどの程度かわからないですし」
俺が答えた。
「何やろうとしてるか分かんないが、碌な事じゃないんだろうな? 」
カルロス一世がいぶかしげに聞いてきた。
「まあ、そうですね」
俺が肯定したら、カルロス一世ががっくりと項垂れた。
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