全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十八部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 戦え 第七章
真面目にここまで話が来たのに、いつまでも、いつまでも終わらない!
こんな事でいいのか?
敵はじりじりと圧迫してきているのに!
これで逃げるはじり貧だと思うんだけどぉおぉぉぉ!
などと俺が騒ぐ。
喋っているんだろうなと思いつつほったらかしにした。
あまりにも延々と逃げる展開が続くので疲れてきた。
全然進展が無いよね。
わかった事はずっと戦っていた敵が何と、我らの創造主達の自分たちが分離した相手だったってだけだ。
そして、恐らく何かを知ってて動いているのか、それとも敵なのかはわからないけど、ツキヨさんがどうなのかが肝なのだが、全然わからない。
「つまりは結局は元凶の貴方方が延々と逃げているからだ! 」
俺がとうとうはっきりと修二さん達に言い切る。
「いや、でも、それだと戦うのは俺達だろ? 」
「そーそー」
御堂祐樹と修二さんが俺の慟哭に冷ややかに突っ込んだ。
「そうだとしても、我々の世界を作ったのは貴方達じゃないですか」
なんと意外なところから突っ込みが出た。
一言多い涼月東が言ってくれたのだ。
そうなのだ。
俺達が見たいのはこの俺達の世界を作った創造主がこの危機において逃げるところじゃなくて、戦うところを見たいのだ。
だって、自分達を作った創造主が駄目駄目でしたなんて見たくないし。
俺達だって、自分の世界とその創造主を誇りに思っていいんじゃないのか?
実際、カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスさんとか誇り高かったし。
「いや、義兄はそういう世界から一番遠い人だけどな」
「難しいんじゃね? ヒモだし」
などと心の師匠のカルロス一世と祝融さんが冷ややかだ。
だが、思わぬところから援軍が来た。
「多分……未来で兄さんが皆から神輿扱いで、会議で座る席にぬいぐるみが置かれていても誰も気が付かないって話はそのあたりにあるんだと思う」
「え? 」
「は? 」
なんとミツキさんが言い切った。
全員が信じられない目でミツキさんを見ている。
それは修二さんと御堂祐樹も変わらない。
この信じられない事態に動揺しているとみてもいいと思う。
「いや……これは性格だし……」
などと修二さんが答えるが御堂祐樹は黙ったままだ。
「ずっと、ずっと、父さんがいない間とか私を助けてくれたよね」
ミツキさんがそう真顔で話す。
「まあ、助けないと……。兄妹だし……」
「じゃあ、それと同じで、この世界を助けれないの? 」
「え? 」
御堂祐樹が凄い顔をしてミツキさんを見た。
「それは、ちょっと違うんでないかな? 」
などと修二さんがそれに突っ込むが皆にスルーされている。
「兄さんはさくらさんが危機に陥った時に、たった一人で動いて助けたよね。深雪さんが事故になりそうなときにも助けたし。勿論、私も何度も助けられた。だから、本来はそういうのが兄さんの本質だと思う。それだから、私は前世の事もあるけど、兄さんの事を好きだったの。だから……」
ミツキさんが真剣に話し続ける。
ちょっと、さくらさんの名前が出たので、いろいろと抱えていそうな一条和馬をちらと見たが、ちょっと苦笑していた。
「いやいや、待ちなさい」
などと修二さんが相変わらず必死に突っ込むが皆にスルーされている。
これはこれで切ないな。
「いや、まあ、生活費はちゃんとたっぷり送られていたのに、全部仕手株とかに使い込んで無くした挙句に、虫とか食わされてれば子供達の眼中に無くなるよな。父親としても」
などと囁くように祝融さんが非難した。
真面目に全く修二さんは家族の会話に参加できていなかった。
兄と妹だけが話している。
それは借金取りとかに取り立てにこられたり、サバイバル訓練をしているから、自分で食べ物とかなんとか出来るだろうとか言うアホな考えで放置されていた二人にしたら、まあ、父親に言われてもスルーするかもしれない。
「父親って切ないな」
などと意味不明な言葉を神無月涼さんが呟いた。
「いや、あなたは関係ないのでは? 」
などと涼月東が突っ込んだ。
「いや、いつも仕事で家にいないと子供から誰? このおじさん……とか見られるんだろうなと……」
家族にずっと会えないから、ちょっと心がやさぐれているようだ。
いや、修二さんの主夫をしてた頃の話をしてんですが。




