全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十八部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 戦え 第三章
「義兄弟はどう見るんだ? 」
「会った事無いのに」
「いや、一応、親なんだが? 」
アポリトさんの言葉に御堂祐樹が身も蓋も無い。
「自分のもう一人も良く分かんないしね。私はどういう部分なんだろ? 」
ミツキさんも首を傾げた。
「結構、同じようにえげつないとこは持っていたと思うが……」
盾になっていた御堂祐樹がそう答える。
えげつないって何なんだ?
「どっちかってーと本能で戦っているなって思ったけど」
「そーそー反応が良かったよね」
「緻密さはこっちのミツキさんの方が上なんじゃないの? 」
などとアオイさん達が戦ったもう一人のミツキさんの話をした。
「何というか、アトラじゃね? あの子……」
御堂祐樹が決定的な話をした。
「アトラ? って……ああ、昔の初めて会った時の私か……」
「こちらのミツキがあまり覚えて無いか? なら、ビンゴだな」
そう御堂祐樹が話す。
「え? え? どういう事? 」
「大妃さんの所から逃げた後にこちらの世界に来た時に心をくれたのがアトラだ。俺はまだあまり心と言うものを持っていなかったからな。それで心と言うものをくれたのが当時アトラだったミツキなんだ」
動揺するミツキさんに御堂祐樹が話す。
「いや、我がお前に酷いことをしていたように話さないで欲しいのだが……」
「悪気は無いと今は分かるけど、大妃さんの世界は戦闘に次ぐ戦闘であまり笑っていられる世界じゃなかったからなぁ」
「草創期の創造主世界と言うものは、そういう考えで無いと駄目だったからな」
大妃さんがちょっとムッとしたように話す。
まあ、いろいろとあったんだろう。
一回目の当時の話をいろいろと聞いた。
「じゃあ、アトラの特殊能力ってどっちが持ってんだ? 」
などと修二さんが慌てて聞いた。
「多分、向こうだ。途中でそれを出そうとしたんで慌てたし」
「何それ? 」
本当に記憶が無いらしくて、ミツキさんが御堂祐樹の言葉に不思議そうな顔をした。
「因果律を弄って勝てそうな流れに変えるんだ。それを整えたら一気に攻めると雪崩を打って勝てる。時間を読める俺だから分かるけど、あれは厄介だ。全部が勝つ方に流れが変わる」
御堂祐樹が真顔で警戒している。
「やばいな。あれがあるなら、下手に戦うべきじゃないと思うが……」
「そんなに厄介なのか? 」
大妃さんが驚いて聞いた。
「「インチキだもの」」
御堂祐樹と修二さんが同時に答える。
「あーあー、どういう事なんですかね? 」
涼月東が不思議そうに聞いてくれた。
彼の一言多いのは本当に助かる。
「だから、流れでそういう流れを見つけるんだ。分岐する時間軸ってのはいろいろとあるけど、その中で勝つ時間軸を見つけると言うよりは、きっかけを掴む感じで勝つ時間軸を選んでいるように俺には見える。アトラは時間は触れないから無意識でそれをやっているんだが、それだけで勝っちゃうから超チート能力だよ。反則だ」
「時間軸をいじるのか? 」
「いや、そう言うのとは違うんだ。勝つための機ってあるだろ? それを強引に捻じ曲げると言うか……。一気に流れを変えてしまうんだ。そう言うのを読むのが得意だった」
「実際は親の俺より強かったからな。本気を出すと遥かに強かった。だから、俺が作った創造世界を息子が最初に亡くなった時には暴走して全部破壊できたしな……」
「は? 」
「え? 」
全員が凄い顔をして聞いている。
「だから、一回目って言うよりは二回目なんだよ。俺達が意識している一回目って……」
それで修二さんがもう一度伝えた。
「どういう事? 」
「記憶が無いかぁ……」
ミツキさんを見て修二さんが深刻な顔をした。
「ああ、やっぱり、俺が一度死んだ後にブチ切れて全部壊したんだ」
「壊したよ。アトラが。だから、その記憶が無いなら、ビンゴだな。ミツキじゃなくてあれはアトラだ」
そう修二さんが呻いた。
いや、一度世界が全部壊れているって話で全員が固まったままだった。
そんな話は聞いてないし。




