第二十二部 第八章 風化
空を飛びながらも、この耳に伝わり身の毛がよだつ様な叫び声は続いてる。
「こぇぇぇぇぇぇ」
俺がブチブチ言いながら飛ぶ。
で、気が付いたんだが。
逃げてるヤマトの人がその声を聴いた途端、その場に蹲り耳をふさぎながら風化していくのが見えた。
「ちょっと、これ近づいて大丈夫なの? 」
ミツキが動揺してる。
そういや、ミツキってガチなホラー嫌いだったな。
俺も実はあまり好きじゃないんだが、アオイとかと付き合って慣れたのが大きいのかもしれない。
慣れたくなかったけど。
ダグダ師匠が恋の聖樹装兵に体当たりして、何かを避けた。
さっきの巨人が走って来て、恋の聖樹装兵を飛びこんで掴もうとしたらしい。
「ありがとう」
恋が師匠に頭を下げた。
「いや、気を付けて、なんか叫び声が聞こえてから、巨人とか動きが変わって来てる」
ダグダ師匠が答えた。
そう言えば、ゆったりした動きから、少し早くなったような気がする。
「あの叫び声で、皆が活性化されてると言う事か」
龍女さんが忌々しそうに言った。
笑えねー。
「しかし、このホラー展開であのえくすかりばぁ君の意味って何なんでしょう」
俺が本当に悩む。
「いや、俺に言われても知らんわ」
カルロス一世が答えた。
「良く訳のわからない展開が多いけど、今回は特に訳が分からない」
「そりゃ、こっちのセリフだわ」
樹老人が呆れたように答えた。
その時、穴の方側から、ドラゴン型の聖樹装兵が三機来る。
「ユウキさん? 」
話しかけられてレイナさんと分かった。
「はい」
「一旦、撤退して。修羅一もイジュウイン大公の中央軍も撤退したわ。それでも一部やられたけど」
「え? 何が? 」
「片っ端から風化してっている。このまま近づくとやられてしまう」
横にいた、同じく聖樹装兵を着装した修羅一の人が言った。
「聖樹装兵に乗ってるならまだ大丈夫みたいだけど、これ以上強まるとどうなるか分からないから、一旦引いて」
「と、言う事は今は穴の近辺には誰もいないと言う事ですか? 」
「ええ、残っているものは全部やられてしまっているはず」
「じゃあ、アオイ、リヴァイアに最強の猛爆攻撃をぶち込ませて」
俺がアオイに頼んだ。
「分かりました」
「え? ここで攻める? 」
もう一人の聖樹装兵を着装してる修羅一の人が呆れたような顔をした。
全力で俺達が猛爆攻撃の影響から退避しながら、しゅんと言う感じで、穴の方へ太い火箭が走ったのを見た。
リヴァイアの猛爆攻撃だ。
穴のあたりが巨大なキノコ雲をともなう大爆発が起こった。
それと同時に落盤するような地響きもする。
「「む、無茶苦茶するな」」
レイナさんの左右の聖樹装兵を着装した修羅一の二人が唖然とした。
 




