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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第三部 第六章 救世主はいなかった

「なんで? 何があったの? 」


 国王が帆船に自ら宰相とやってきて、途方に暮れた。


 帆船には乗り込めないように、近衛のサイトウ公爵が近衛全軍を持って帆船に近づけないように警備している。


 しかし、帆船の外からの救世主を呼ぶ声は止まらない。

 

「何故、救世主様は降りてこないんだ」


「我々は世界を救うために救世主様と戦うために、ここに来たのだ」


「救世主様に一目あわせてください」


 物凄い人気だ。


 帆船の航路もあって、あれからニか月近く経っていた。


 コンチュエでの自己犠牲のように見えた救世主の行動が人気を爆発させていた。


「いや、それが、ある夜からいなくなっちゃって」


 ミヤビ王女が気まずそうな顔をした。


「ふつう探すよね」


 国王が呆れたような目で皆を見た。


「アオイはどうしたの? 」


 宰相がオロオロして聞く。


「多分、一緒に行っちゃったんじゃないかと」


「ムラサキはどうしたんだ」


「は、それが、階級章をユウキ殿と同じく甲板に置いていなくなりまして」


 ヨシアキ中佐が弱り切ったように答えた。

 

「どうしょう。いないってばれたらまずいよね。暴徒になるかな」


 国王がすっかり焦ってる。


「いや、いくらなんでも、暴徒なんて」

 

 ミヤビ王女が聞き返した。


「それが、集まった志願兵だけですでに十万超えてるんだ」


 国王がげっそりしてる。


「十万!! 」

 

 ミヤビ王女が驚く。


「正式に諸国から来た兵を集めると、その倍は来てるよ」


 宰相も困ったように答えた。

 

 そこへ、南方将軍のミタライ公爵が皆が集まってる帆船の船室に走って来た。


「どうしたんだ、ミタライ公爵! 南方の本部に戻ったのでは! 」


 国王が驚いた。


「いえ、緊急な話として今回の件を聞いて急いで戻ってきました」


「そうか」


「いよいよ、私が、彼が大佐になった時に作ってあった物が、役に立つときが来たのです」


 そこに、シ〇ア・アズ〇ブルの仮面と赤い甲冑があった。


「これを使って、彼の不在を誤魔化しましょう」


「ええ? 」


 国王の顔が引きつるが、ミタライ公爵は持ってきた甲冑の兜を手に持って皆に見せた。


「見てください。この兜のここを」


 自慢げにミタライ公爵が兜の先についたシ〇アザクみたいな角を見せた。


「ここがこだわりなんです」


 胸を張って、ミタライ公爵が答えた。


「君、本当にファーストガ〇ダム好きだよね」


「まあ、若さゆえの過ちって事ですよ」


「じじいじゃん」

 

 宰相が突っ込んだ。


「俺と四歳しか違わないのに、君に言われる筋合いはないな」


 ミタライ公爵が宰相に言い返した。


 その時、部屋に仮面の女が入ってくる。


「もう、アニメオタクはいい加減にしてくれる? 」


 怪しい仮面の女が入ってきたので、国王の護衛の衛士達が一斉に刀を抜く。


「ま、まて、殺すな! 」


 国王が慌てて、仮面の女に叫ぶ。


 衛士達では無く、仮面の女にだ。


「殺してないから安心して」


 護衛の衛士達は泡を吹いて全員気絶した。


「何をしたの! 」


 ミヤビ王女が叫んだ。


「雑種は黙っててくれる? 」 


 仮面の女がミヤビ王女を睨んだ。


「雑種? 」


 いぶかしげにミヤビ王女が聞いた?


「おじさんもいい加減に教えてあげなさいよ」


「まあ、そう言わんでくれ」


 国王が困り切った顔をした。


「おじさん? 誰? 」 


 ミヤビ王女が戸惑ったように聞いた。


「私はね。この国の為にたくさんの人を殺して、手を汚してきたの、名前なんか教えたら、全部終った後、普通の生活なんて出来ないの、わかる? 純血の神族は大変なの」


「神族? 」


「貴方のような雑種は知らなくてもいいのかもしれないけどね」


 仮面の女が小馬鹿にしたように喋る。


「まあまあ、そこまでにしてくれ。それよりも、ユウキはどこへ行ったんだ」


 国王が仮面の女とミヤビ王女の間に入るようにした。


「パトリダよ」


「え? まさかニコス家か? 」


 驚いたように宰相が聞いた。


「ええ。すでに、独力でパトリダの海賊を攻撃して掌握して、すでに数万の兵を持ってるわ」


「なんじゃ、それ」


 国王が驚いた。


「ニコス家のカザンザキスのバックアップもあって、ほぼパトリダ全土を掌握してるわ」


「相変わらず凄いな」


 宰相が呟いた。


「問題は、スーパーやるんだって」


「「はあああああああああああああ? 」」


 国王と宰相が同時に叫んだ。


「何やってんの? あいつ? 」


 国王の顔が真っ青になった。


「もう、救世主は辞めて、商人になるんだって」


「何なの、それ? 」


「こっちが聞きたいわよ。それよりも、宰相のおじさんの娘のアオイって雑種よね」


 仮面の女が宰相に聞いた。


「アオイちゃんは雑種だけど、雑種って呼ばないで」


 宰相が泣きそうになった。


「おかしいのよ」


「何が? 」


 国王が聞く。


「あの子、私より、お兄ちゃんの巫女としての力があるかもしれない」


「はあああああああああ? そりゃ、無いでしょ? 」


「それが、あの近海にいるシーサーペントも千匹以上コントロールしてるわ?」


「ひょっとしたら、私の眷属すらコントロールされるかも」


「そんなはずは……」


 宰相が驚愕した。


「そもそも、お兄ちゃんが何者なのか知ってる節もあるの」


「「ええええええええええええ!! 」」


 国王と宰相が叫び声をあげる。


「ちょっと、お兄ちゃんって? 」


 ミヤビ王女が聞いてきた。


「今、大事な話なんだから黙りなさい」


 仮面の女がミヤビ王女を一瞥もせずに答えた。


 ミヤビ王女が紋章を使って、火の弾をいくつも出そうとした。


「よしなさい! ミヤビ! 」

 

 国王が慌てて叫ぶ。


 仮面の女が微動だにせずクスリと笑うとミヤビ王女の火炎系の魔法は解除されて、ミヤビ王女自身は壁に投げつけられたように叩きつけられる。


「あのね。純血の神族にかなうわけないでしょ」


「くっ」


「貴方はね。せっかく、純血の神族の中でも最も尊いお兄ちゃんの補佐をできなかったんだから失格よ。次は殺すからね」


 その場が震えるほどの殺気を仮面の女が出した。


 皆が黙り込んだ。


「そんな事よりも、おじさん。カザンザキスはお兄ちゃんが偽名を使ったけど、お兄ちゃんが誰であるかを理解してるわ。コンチュエとも連絡取ってるし。このままだと、あちらが盟主としてお兄ちゃんを立てるかも。そうなると<結末の時>を前にこちら側が半分に割れるわ。どうするの? 」


 仮面の女が困ったような顔をした。


「うーん。困ったなぁ」


「とりあえず、お兄ちゃんの戦闘進化は前回も失敗したし、もう一度だけ私はやってみるつもりだけど」


「……分かった。そうしてくれ」


 仮面の女が踵を返して、出ていこうとすると。


「あ、待ってくれ」


 国王が呼び止めた。


「なあ、救世主の件どうしたらいいと思う? 」


「ミタライのおじさんの言うとおり、シ〇アの仮面と鎧でやったら? 中身はその辺の誰かでいいでしょ」


「やっぱり、ガ〇ダムだよね」


 ミタライ公爵が本当に嬉しそうだ。


 それを聞いて、仮面の女は溜息をついて出ていった。



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