全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十七部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 赤子の光の混沌の女神様 第八章
「でも、母さんなら、向こうが避難場所に介入したと見たら動くだろ。そのあたりのタイミングを見るのは凄く得意だから」
そうしたら、御堂祐樹がそう話す。
親父と息子とはいえ、息子の言葉は間違いないらしくて修二さんが黙った。
「確かに、女媧様なら間違いないと思う。何しろ、世界政府でそういう判断をなさる方だからな」
祝融さんが太鼓判を打つ。
なるほど、それは言えている。
実際、世界政府での手腕は女媧さんは定評があるし、凄くタイミングよく仲裁に入るのだ。
その仲裁のタイミングで双方に恩を売ることで、武力では無く政治で彼らを抑えてきた。
それは12月家でも知られている話だ。
問題があるとすれば、そちらが忙しくて、修二さんが主夫をやった事くらいだし。
「それ、大きいな。失敗として……」
「ほぼ、全ての癌だし」
心の師匠のカルロス一世と一条和馬がそう話すので、祝融さんが少し怯む。
尊敬する女媧様と言えど、それだけは否定できないのだろう。
「いや、ヒモが政治とかしないのが悪い」
「俺の仕事じゃないだろ? 」
「お前が作った世界じゃん! 」
などと修二さんと祝融さんが言い合いを始めた。
「となると、後はもう一人の親父の激で動いた創造主達への対応だけだな。それを何とかすれば母さんが間に入れる」
などと御堂祐樹が呟いた。
『ようやく、どうしたら良いか見えてきましたね……』
光の混沌の女神様の赤ちゃんがそうテレパスを飛ばして感激している。
流石に長い長いトラブルがしんどかったのだろう。
でも、大事な人の話が抜けていると思う。
それだけでは終わらないと思うのだが。
「なんか、ありますか? 」
一言多い涼月東が突っ込んできた。
俺が喋ってしまうので実況している形になっているから、全員が俺を見た。
「いや、ツキヨさんの話が抜けている。あの人が核の話だと思いますよ」
俺が仕方ないので答えた。
「そうか、ツキヨ曾祖母がサヨ祖母とは離脱して、どこに行ったのか分からないんだ。一体、これが何の意味があるのか……」
御堂祐樹も即座に同意した。
格闘系の戦闘で最強と言われるサヨさんを超える異様な戦い方で、これまたほぼ最強だと皆から言われている人物である。
ツルツルと食べると言うのがよくわかんないけど、誰もが最強すぎて手が出せないとか。
「なぜ、なぜ、ツキヨ曾祖母を血で混ぜたんだ? 」
御堂祐樹が珍しく真面目に話す。
皆がゴクリと息を飲んだ。
御堂祐樹が真剣だ。
ミツキさんもそれが知りたいらしくて、真剣に修二さんを見ていた。
光の混沌の女神様の赤ちゃんも何か知っているのかもしれないけど、その答えを待っていた。
全ての今回の問題はそこにある。
全員がそう思っていた。
何故か混沌の女神様の姉妹であると言う。
一体、どういう存在なのか?
誰もがそれを気になっていたのだ。
「いや、まつろわぬものだからさ」
などと修二さんがさらりと答える。
全員が固まる。
そんなの最初から知っているし。
どうして、彼女の血を流すことにしたのか、全然わかんないし。
「それを話すべきだと思うぞ。義兄のやらかしの中心なんだから……」
心の師匠のカルロス一世がじっと修二さんを見た。
だが、全然修二さんは平然としていた。
「いや、一番強いのが分かったから選んだだけだが……」
修二さんがさらりと答えた。
「え? 」
「は? 」
皆が訝し気に修二さんを見た。
修二さんは平然としていた。
「マジかよ。本気で何も考えず、一番強い血を入れようとして、入れたのか……」
御堂祐樹が顔を歪ませた。
ミツキさんの顔も歪んでいるので、間違いない。
マジでそれなんだ。
「当たり前だろ? 強い血を入れたいと思うじゃないか」
修二さんが笑った。
最悪や。
『何も……何も知らずにあの血を入れたのですね……かって何も考えないで楽園にいた後継者の少女に知恵を与えたのと同じように……信じられない……』
そう混沌の女神様が動揺して話す。
また、修二さんがやらかしたらしい。




