全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十七部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 赤子の光の混沌の女神様 第三章
「いや、なんで、そんなにおむつを替えるのにこだわるんです? 」
禊さんが変態を見るような目で修二さんを見た。
「それは親孝行をしたいだけだ」
などと修二さんがキリリとした顔で答える。
いや、そんな事しないでも、別に親孝行の方法はあるだろうに。
なんで、おむつに拘るのか。
「そうですよ! 光の混沌の女神様の世界を救って欲しいと言うお願いがあるじゃないですか! 」
などと俺が話していたせいで、それに乗って禊さんが怒った。
「多分、光の混沌の女神様の赤ちゃんに嫌がられているから、やりたいだけだと思う」
とりあえず、許嫁達にもみくちゃにされて、それが落ち着いたのか御堂祐樹が修二さんに近づいてきて苦笑した。
それで、修二さんが罰の悪い顔をした。
この人、本当に子供だ。
好きな子を虐めたり、母親の注意を受けたいという系統なのだろうか?
修二さんを見て、俺が呆れた。
『全然変わってない』
光の混沌の女神様の赤ちゃんのテレパスが辛い。
これがその辺の親の年齢ならともかくも、すでに計り知れない年数を生きてきた創造主の姿である。
「俺はいつまでも、子供の心は忘れたらいけないと思う」
「それは40年とか50年しか生きていないおっさんの言葉だろ? いくら何でも、どうかと思うぞ? 永遠を生きているのに、そんな馬鹿な事を言うとか……」
心の師匠のカルロス一世が突っ込んだ。
「いや、そういう趣味の問題はどうでも良いんだけど、これからどうするの? 」
御堂祐樹が現実の話をしたいらしい。
「いや、趣味の問題で済ますのは良くないと思うがな。とりあえず、そちらが優先だ。どうするんだ? 」
などと祝融さんも突っ込みながら御堂祐樹の話に乗った。
正直、あまり時間が無いと光の混沌の女神様の赤ちゃんもおっしゃってたが、もうすぐ彼らが追撃してくると言うのを御堂祐樹は肌で感じているらしい。
ちょっと、顔がピリピリしている。
「ふふふふ、心配するな。俺はお前の事もちゃんと考えている」
などと修二さんが笑うと無限倉庫を開いた。
御堂祐樹が怪訝な顔をしていたら、頑強そうなプレートメイルの西洋の鎧が出てきた。
表面に異様な文様と魔法陣が描かれた独特な鎧だ。
「何か、いろいろと呪術が施してあるな? 」
「いずれ、洋風ファンタジー的な世界に来たら使うつもりで準備していた鎧だ。お前と俺はサイズはそう変わらないから、使えるだろう」
「義兄、これは何なんだ? 」
「相当な防御結界が張ってあるな」
心の師匠のカルロス一世と祝融さんが呻く。
「お前は普通の服で盾をしていた。だから、こんなことになってしまった。だが、これは特別の防御の呪術が施された特別な鎧だ。俺が絶対に痛い思いをしないようにと、頑丈に作ったのだ。これをお前にやろう。これなら、攻撃されてもすぐにボロボロにならない」
「は? 」
御堂祐樹が唖然としている。
それは単なる防御の武具では無いかと思うのだが……。
それで俺とか御堂祐樹とかが疑うような表情でその鎧を見たので、修二さんが笑った。
「ふふふ、分かっているよ。ほら、これだ。いつかタンクをする時があればと作っておいた特別製の盾だ」
などと頑強で超強力な呪術が施された盾を御堂祐樹に見せた。
修二さんの得意そうな感じが止まらない。
「いやいや、これって……単なる防御じゃないの? 」
などと御堂祐樹が修二さんに聞いた。
「その通りだ。お前は盾役だからな? これで簡単に服もボロボロにはなるまい。100回くらい耐えたらしいが、300回くらいは余裕で行けるんじゃないか? 」
「解決策じゃないじゃん! 」
御堂祐樹があからさまに切れる。
「お前、父親としてどうなん? 」
「しかし、こいつは光の混沌の女神様の赤ちゃんが認めた、双方のミツキとの戦いを盾として戦い続けるための男だ。仕方あるまい」
祝融さんに突っ込まれたが、修二さんが平然と答えた。
「ふざけんなやぁ! あんなの続けたって解決にならんやん! 」
などと御堂祐樹が叫ぶ。
それで光の混沌の女神様の赤ちゃんが静かにため息をついていた。