全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十七部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 赤子の光の混沌の女神様 第一章
「ご苦労様だったな、義兄弟」
ボロボロの服の御堂祐樹にアポリトさんが声をかけた。
「これを着るといい」
修二さんが無限倉庫の中から御堂祐樹に服を渡した。
それで、はあはあと息をきらしながら、御堂祐樹が服を着る。
あたりを見回すと、本当に全部の蒼穹船も転移していた。
それらが個別で着陸してくる。
地球型の惑星で、大陸の中央に巨大な神殿がある星だ。
もしもの時の為の星なのだと言うのは光の混沌の女神様の少女……今は赤子だが……言っていた。
「ここは? 」
「光の混沌の女神様のいよいよの時の避難場所の異世界の星らしい」
御堂祐樹の言葉に修二さんが答える。
『御堂祐樹。もはや、貴方に頼るしかありません。もう一人の修二氏とミツキさんから世界を守って欲しい。恐らく、彼らはこちらをすぐに見つけると思う。だが時間稼ぎはこちらの世界に降りたことで出来たと思う。だから、貴方にしか頼めません。世界を救ってください。これは貴方……いや、貴方方にしか出来ません』
そう禊さんに抱かれたままで力を使い果たした光の混沌の女神様の赤ちゃんがテレパスで話す。
「こ、これは……」
御堂祐樹がそれを見て驚いた。
「我々を救うために力を使い果たして、赤子になられたのだ」
祝融さんがそう厳しい顔で御堂祐樹に話す。
現状の厳しさを伝える為だろう。
「サイ〇ーグ001? 」
「あ、俺も思った」
などと呑気に御堂祐樹と修二さんが盛り上がっている。
赤ちゃんでテレパスを使うから、そう騒いでいるらしい。
それで禊さんにバスタオルのような布にくるまれていた光の混沌の女神様の赤ちゃんが怒りで震えておられる。
あーあ。
「お前っ! だから駄目だって言ってんだっ! 所詮、ヒモだ! 何が赤ちゃんになられた光の混沌の女神様の御世話だよ! 」
祝融さんがブチ切れる。
「ええ? この赤ちゃんが光の混沌の女神様なの? 」
ミツキさんが驚いて話に参加した。
「そうだ。我々を助ける為に力を使い果たされたのだ」
祝融さんがそう重々しく話すが、御堂家のものは誰も聞いちゃいない。
「育てるなら、私達の味方になる様に洗脳……じゃなかった教育しようよ」
「それは、良い考えだな」
などとミツキさんの提案に大妃さんらしい人まで乗る。
「なるほど、赤ちゃんなら後見役がやり放題ね」
などとミヤビさんまで笑っている。
「全てを支配できるかもね」
アオイさんも微笑んだ。
怖い怖い怖い怖い……。
野望の軍団や。
『なんで、こんなのばかり……』
禊さんに抱かれながら光の混沌の女神様の赤ちゃんがバスタオルに顔を隠しながら泣いているのかもしれないような仕草をしていた。
「おむつじゃないか? 」
などと修二さんが紙おむつを無限倉庫から出して、交換の準備を始める。
主夫時代を思い出したのか、修二さんが生き生きとしていた。
そっちじゃないよ。
『違うわぁぁぁぁ! 』
「あの、真面目にしませんか? おそらく、この世界にも、もう一人の修二さんとミツキさんが来ると思います。時間はあまりありません」
そう必死に禊さんが言うが誰も聞いちゃいない。
蒼穹船が着陸して、女性が走り出て来て御堂祐樹に抱き着いた。
「龍女さん、お久しぶり」
御堂祐樹がそれで笑った。
それで雪崩を打ったようにミツキさんとかが御堂祐樹の元に集まって抱きしめる。
龍女さんがやったから、私も私もーって感じなんだと思う。
そうやって、慌てている光の混沌の女神様の赤ちゃんと禊さんをほったらかしで、その周辺だけ盛り上がっていた。
「大丈夫なんですかね? 」
涼月東が心配そうに呟いた。
「大丈夫なわけ無いだろ」
「上手くいくとは思えない」
心の師匠のカルロス一世とアポリトさんの冷静な言葉が辛い。