全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十六部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 最適解 第七章
「私がやります。全ての戦闘艦と皆と御堂祐樹ともう一人のミツキさん以外の味方を、もしもの時の為の異世界に飛ばします」
そう修二さんに抱かれていた光の混沌の女神様の少女が修二さんから離れてよろよろと立つと静かに覚悟を持って皆に宣言した。
「し、しかし……」
「それしかありません。私の配下の者もかなりが行方不明です。どうなっているのかわかりません。もう一人のミツキさんに吸収されたのかも。急がねばなりません」
「わかりました。では赤ちゃんになられた場合のお世話は私にお任せください」
などと修二さんが言うもので、思いっきり嫌な顔をされる。
光の混沌の女神様の少女が固まっていた。
それは考えてなかったのかもしれない。
「いや、俺はこう見えて、息子も娘も主夫として育ててきた経験があります」
「失敗したけどな」
「その結果がこれだけどな」
「世界を崩壊に導く男って決して嘘じゃないよな」
などと修二さんの言葉に皆の意見は最悪だった。
「あの……あなたに頼みたいのですが……」
そう光の混沌の女神様の少女が禊さんに頼む。
「わかっております。あのような男に混沌の女神様を触らせません」
禊さんが真剣だ。
「いや、おむつの交換だって得意なんですよ? 」
「ふざけんな! 」
禊さんが激怒した。
凄い怒声だ。
混沌の女神様もキレてなさる。
「つくづく、空気が読めないな」
「というか、これで混沌の女神様まで義兄が教育したら、世界の救いは無くなるぞ? 」
などと懸念の言葉が次々と皆から出る。
「心はそのままです! 教育などいりません! 」
光の混沌の女神様の少女が断言した。
「遠慮しなくてもいいのに」
などと修二さんが不満気に呟いた。
何だろうな、この世界を崩壊に導く男の姿は……。
「本当に、懲りないんですね」
「それだけが取り柄だ」
「「「「取柄じゃねえよ! 」」」」
心の師匠のカルロス一世達が叫んだ。
「とにかく急ぎます。サヨさんが負けました。まつろわぬものも全く相手にせず、こちらに向かってきます」
「えええ? あいつサヨ母さんに勝ったの? 」
修二さんが驚く。
サヨさんはほぼ戦闘に関しては最強だと言ってたからだ。
「貴方の本来の才能なら、そのくらいは出来ます。余計な事をしなければ貴方はある意味最強の怪物なのです。幸いに半身ゆえに限界はありますが、それでも、容易ならない敵になります。もう一人のミツキさんもこちらの御堂祐樹のミツキさんを含む許嫁達と互角です。私は赤ちゃんになりますが、テレパスによる会話は大丈夫です。しかし、無理はもうできなくなります。だから……貴方達が頼りです。お願いします。世界を救ってください。しばらくは私の避難用の世界で時間を稼げますが、このまま彼らは追ってくる可能性が高い。貴方達にお任せしたい」
そう光の混沌の女神様の少女は修二さん以外の全員に頭を下げて頼んだ。
どうやら、それには俺も入っているらしい。
「えええ? 」
それが自分でなく皆に頼んだので、修二さんが不貞腐れていた。
いや、そりゃ、しょうがないわ。
そして、全ての世界が歪み始めた。
転移が始まったらしい。
「多分、この転移も僅かな時間稼ぎにしかならないでしょうけど……世界を救ってください……」
そうして、全員が異世界の光の混沌の女神様の非常用の星に転移した。
驚いた事に鉄のゴーレムも全部連れて転移していた。
もちろん、強襲型の蒼穹船も龍女さんの蒼穹船もだ。
そして、赤子に戻った、光の混沌の女神様の赤ちゃんを大切に禊さんがバスタオルのような布を使って抱え込んだ。
大切に大切に。
「はぁぁぁぁあ! もう少しでトドメの一撃を出せたのに! 」
「逃がしてしまったな! 」
戦闘的にはポジティブな獅子の軍団の面々が光の混沌の女神様の気持ちも分からず愚痴を言いまくっている。
逃げたのはこちらなんだけど。
その混沌の女神様の避難用の星の大きな大陸にある、中央の静かな神殿のまわりに全員が転移していた。
蒼穹船もその上空に転移した。
「もう、無理……」
そして、ボロボロになった御堂祐樹がぼろ屑のように目の前の地面に横たわった。
すでに服は盾になった事でボロボロになって半裸になっていた。