全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十六部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 最適解 第六章
「え? 創造主って死ねないのでは? 」
そう一言多い涼月東が聞いた。
「心の死です。死ぬことが出来ないので永遠に自分が作り出した閉鎖空間で自分を呪い続けて岩のようになります。心と言うものを無くすのです」
少し泣きそうな顔で光の混沌の女神様の少女が答えてくれた。
なるほど、死が無い以上エンドレスで自分を責め続ける事で、その連鎖の中に沈むと言う事か。
死よりキツイのでは……。
「苦恨が直接自分の魂を潰すことになります。だから、青銅器から鉄器文明など、大きな文化の転換期は沢山の死者と世界のストレスが起きるのです。それを混沌の女神様は少しでも軽くする為にいろんな補助の世界を作っておられました」
「それに引導を渡したのが義兄か……」
「そりゃ大悪魔と言われるよな」
「どうしょうもないな」
などと禊さんの言葉に続いて、一斉に皆からの突っ込みが続く。
「これは不可抗力じゃね? 」
修二さんがそう呟くと、光の混沌の女神様の少女が修二さんをじっと睨んでいた。
「まずいな。新手だ」
アポリトさんがそう呟いた。
索敵映像を宇宙の方に伸ばす。
次々と艦艇を意味する光点がポツポツと画面に凄い勢いで増える。
「ここまでとは……ここまで裏切るものが出るとは……」
「多分、東方の邪悪な大魔神が混沌の女神様を倒すために動き出したと言う話が大きいのでは? 何しろ、かって誰も出来なかった混沌の女神様の主宰者たる世界の崩壊を起こした怪物と認識されていますし。とうとう動いたと見なすものも多いと思われます」
「いやいや、だから、良かれと思ってやっただけだから」
修二さんが必死だ。
だが、光の混沌の女神様の少女も禊さんもそれを冷ややかに見ている。
「まずいな。燐族の強襲型の蒼穹船がほぼこの星に降りてしまった。これでは上空から一気に叩かれるぞ? 」
心の師匠のカルロス一世が呻く。
「ただ、乱戦が強いだけの軍団だからな。距離を取って攻撃されたらボロボロに負ける。しかも、燐女さんらしいのだけど、母艦とも言うべき龍女さんの蒼穹船をほったらかしで降下しているから、龍女さんの蒼穹船はほったらかしだ」
アポリトさんも凄く焦っていた。
「このままだと我々の世界に帰れなくなると言うのですか? 」
神無月涼さんが呻く。
「それよりも、神子の御堂祐樹がそろそろ限界ですね」
光の混沌の女神様の少女が御堂祐樹が戦っているあたりを見て呟いた。
「やはりそうですか……さすがに100回を超える盾を繰り返してたら、そうなりますよね。まずいですね。そろそろ双方が御堂祐樹が盾にならなかった瞬間を見逃すまいとタメを作り始めています。相手を一撃で葬れるようにでしょうが……」
「いやいや、こんな時にか……」
雪龍さんの言葉に心の師匠のカルロス一世が焦る。
「まあ、そこまで強力なのは双方出せないだろうな。魂を吸収したいのだから。全部消滅してしまったら終わりだ」
「ならどの程度だ? 」
「ここも含めて半径100キロくらいは塵になる程度だ」
「全然、その程度とか言うレベルじゃねぇじゃないか! 」
「互いに強くて頑丈だから仕方あるまい! 」
祝融さんと修二さんが言い合いしていた。
「上の龍女さんの蒼穹船も攻撃を受けだしている。どうする? 燐女さん、本当に全部の強襲型の蒼穹船を降下させたんだな、護衛の艦艇がいない。やる事が相変わらずだな。いきあたりばったりだ」
アポリトさんが苦い顔した。
「私が全員を転移させます」
そう光の混沌の女神様の少女が皆に宣言した。
「えええええ? しかし、今の状態で……」
「仕方ありません。鉄のゴーレムから全ての軍艦を転移させます。私の身体は力を使う事で赤子に戻りますが、それしか無いでしょう」
そう覚悟をした目で光の混沌の女神様の少女が笑った。
「どちらかと言うと、獅子の軍団ともう一人のミツキの方がやばいしな」
などと他人事のように修二さんが呟いた。
つくづく、全然、自分の責任とか感じてないんだなと。