全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十六部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 最適解 第二章
「まあ、もう一人の俺がいないから、ここで使えるんだがな」
修二さんが苦笑した。
だが、命令してないのに、爆龍王ゴウオウが向こうの方へ爆炎を吐いて街を破壊した。
轟音とともに炎のせいで階層が崩れ落ちていく。
威力はアップしているようだ。
なんてこった。
「何かいたのか? 」
心の師匠のカルロス一世が修二さんに聞いた。
「まさか、義兄弟の十二使徒みたいにコントロールが効かないのか? 」
アポリトさんが動揺して呟いた。
「いや、息子もそうだが、主が分離しているとコントロールが弱くなるんだ。だから、今の俺も完全にコントロールは出来ない」
「いや、それだと大丈夫なのか? 本当に無茶苦茶だな! 」
修二さんの言葉に祝融さんが呻いた。
「まあ、ある程度は大丈夫だから」
「お前が私の後継者に知恵を勝手に授けた時と考え方が変わらないではないか? 」
「いや、勝手に俺の半身が分離しているからしょうがないじゃないですか? 」
「それも、いろいろとまつろわぬものの血に手を出したり余計な事をするからではないか? お前は良かれと思うとすぐ暴走するからな」
「いや、まあ、何とかしようと必死だったんですよ」
修二さんが苦笑した。
厳しい事を話しているようだが、光の混沌の女神様の少女は目は優しかった。
子供として見ているのかもしれないような母性を感じさせるような目だ。
あの反乱した焔ですら守ろうとしたのだ。
本質的には慈愛の創造主達の主宰者様なのだな。
慈愛が元で、いろんな配慮を全ての創造主達の世界にして、自分が被る形でそれを行い、その結果いろんな不具合が出てしまったと言う事か。
だから、カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんに慕われていると言う事か。
なんとなくそんな所が分かった。
「いや、おぬし、少し褒めすぎでは無いか? 」
などと光の混沌の女神様の少女が俺を見て苦笑した。
「そう言えば、焔ってどうなったんですか? 」
空気を読めない涼月東がそんな雰囲気の中でいきなり、光の混沌の女神様の少女に聞いた。
相変わらず空気読めないなと。
「行方不明です」
そう禊さんが呻いた。
どうも、次から次へと厄介な事になっているようだ。
だが、思わぬことが起こった。
地響きが続いた。
何か大量の何かが移動してこちらに向かってきているらしい。
それは金属音もさせながらこちらに向かってきていた。
「鉄のゴーレム達だ」
それは御堂祐樹の魂の欠片を持っているとか言う鉄のゴーレム達だった。
あちこちで激戦だったらしくて、すでに大量に発射し続けたロケットパンチで腕は無くなり、時間を止めているので無敵だからこそ、それでも戦い続けていたらしい。
それらが次々と集まってきた。
多分、光の混沌の女神様の少女がここにいるのが分かったのだろう。それで集合を始めたようだ。
全員が近くに来ると次々と光の混沌の女神様の少女に跪いた。
自らの創造者であり、母に等しい存在として、光の混沌の女神様の少女様に従い戦うために集まってきているらしい。
全部で80体くらいで全然減ってない。
「おおおおお、お前達……」
光の混沌の女神様の少女が嬉しそうに微笑んだ。
「やばいな……」
だが、修二さんの顔が歪む。
「それはこの威容がやばいのか、それとも別の悪い事になると言う意味か? 」
祝融さんが慌てて修二さんに聞いた。
「悪い事の方だよ! 」
そう修二さんが叫んだ途端に大量のミサイルが次々とこちらに着弾する。
それを修二さんが強力なバリアを張ることで防ぐ。
「ああ、そうか、どこに光の混沌の女神様の少女がいるかバレちゃったんだ」
そう俺が納得して呟いた。
さらに、それで激しい攻撃が始まった。
とはいえ燐女さんの強襲型の蒼穹船にルドラの後に攻めてきた創造主の艦隊はほぼ破壊されているので、最後の全力攻撃のように見えた。