全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十六部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 最適解 第一章
「まさか、あのような手を使うとは……」
光の混沌の女神様の少女が修二さんに抱かれながら批判的に話す。
「いやいや、無垢な貴方様の後継者の少女に思い付きで知恵を授けたばかりに、こんな大それた事になっちゃったんだから、そりゃ、用心はするでしょ。創造物が内乱とか問題を起こした時に対応するために、全ての能力を止める仕組み位は作ってますよ」
そう修二さんが困った顔で話す。
まあ、普通にアメリカはそれプラスでデータリンクと言う戦闘において相手の状況などの情報などの全体の状況を習得して、全軍が統一して連動して対応する為のシステムのリンクを裏切ったりしたら一方的に切れるらしいので、もうチートもチートだから。
それらのデータリンクを外されたら、そこから一気に戦争が出来ずに下手したら滅んでしまうのだ。
もはや、こういうのは民間でも某国のEVには、ある一定の年数が過ぎるとバッテリーや電子部品を交換しないといけないように自動車が勝手に止まる仕組みを入れていると言う噂もあるから、こういうのは普通にある話なのかもしれない。
「だそうですよ」
などと俺が喋っている言葉に乗っかって修二さんが光の混沌の女神様の少女に微笑んだ。
「やれやれ、それにしても、それはツキヨ殿の思った事を喋る呪いだな。それの解除は私ともう一人の私(闇の混沌の女神)が揃わねば無理だな」
などと光の混沌の女神様の少女が話すのでがっかりした。
あーあーあー、やっぱり無理なのか。
期待してたんだがなぁ。
となると御堂祐樹の時間を操作する力も今は使えないと言う事か。
「すまないが、そういう事になる。もう一人がいなければ半身でしかないのでな。今回は時間を止めていたのを戻しただけで、このざまだ」
そう光の混沌の女神様の少女が自分の少女の身体を見せて自嘲気味に話した。
「でも、回復中とお聞きしたので、いずれは治るのでしょう? 」
「時間がかなりかかるがな」
光の混沌の女神様の少女が険しい顔を止めない。
「いや、落ち着いて話しているけど、あのバカの爆龍王ゴウオウが近づいてきているんですけど」
一条和馬が慌てて話す。
「それは……大丈夫だ……。もう……やりたくなかった奥の手ばかり使う羽目になりそうだな。真面目な話」
そう修二さんが呻く。
「やはり、そうだったんですね」
そう雪龍さんがバリアを解いたので、祝融さんも不安そうにバリアを外した。
だけど、用心深い心の師匠のカルロス一世はバリアを解かなかった。
「いや、大丈夫ですよ。旦那様の父君は最悪の時はどんな事だって出来るようにしてありますから。あの四十六諸侯のバウルとディアボロス侯爵はちょっと自分たちの創造主の事を甘く見過ぎてたようですよね」
などと雪龍さんが話すので、心の師匠のカルロス一世も悩んだ後にバリアを消した。
「ギャオオオオオオオン! 」
爆龍王ゴウオウがこちらに威嚇するように叫んだ。
「大丈夫なんですか? 」
心配そうに神無月涼さんが呻く。
「あれなぁ。息子には十二使徒がいるけど、俺にも使徒がいて、実はあれが使徒なんだ」
そう修二さんが言うと、手をあげた。
その瞬間、光が飛び散るように、爆龍王ゴウオウに集まる。
あれ?
闇じゃない?
なんで?
「ああ、光の創造主の方も、今回は緊急時だから、力を受けてきている。本来は俺だけが創造主で闇だの光だの属性は無いから。演出だよ、演出」
そう修二さんが俺を見て笑った。
爆龍王ゴウオウの形が変わっていく。
その巨大さは変わらずに、頭というか背中のあたりから剣と言うか何か光輪というか出ている。
ってか、まんま剣みたいに見える。
イメージ的には豊臣秀吉の有名な兜の一の谷馬藺後立付兜みたいな後立みたいなものが生えている。
秀吉の兜はアヤメ科の一種「馬藺」をかたどった装飾らしいのだが。
そして、爆龍ゴウオウの身体のバカでかいのも直したらしい。
その剣のような装飾の部分だけ地上から見えていたのが見えなくなった。
自分のサイズを小さく変えたようだ。
そして、階層の上の方に30メートルくらいになって、のそのそと上がってきた。
「あれ、邪魔じゃね? 」
心の師匠のカルロス一世がその爆龍王ゴウオウの装飾を見て苦笑した。