全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十五部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 激突 第八章
「ルドラはどうなったんだ? 」
心の師匠のカルロス一世が修二さんに聞いた。
「何とか倒したって言うか……バウルがルドラがボロボロの時に介入してきて……」
「邪魔だから潰した」
などとバウルが笑った。
何というか脳筋の匂いがした。
そう言いながらムキムキの身体をポージングで見せつけている。
「やはり、仲間がいるところに逃げてきましたね。貴方はそもそも、昔からそうです。さあ、我らの主が希望しておられるのです。光の混沌の女神様をお渡しください」
そう、ディアボロス侯爵が苦笑した。
「バリアを、修二さんにも……」
などと神無月涼さんが心の師匠のカルロス一世や雪龍さんに頼む。
「いや、いらんな。この様子だと」
などと心の師匠のカルロス一世がバリアを解かないように祝融さんと雪龍さんに話す。
「いやいや、味方ですよ? 助けないんですか? 」
妻と子供を女媧さんに預けているせいなのか神奈月涼さんが必死だ。
だが、心の師匠のカルロス一世が冷ややかに黙っている。
「義弟にも捨てられるとは大変ですな」
そうディアボロス侯爵が修二さんを笑った。
だが、修二さんは抱えている光の混沌の女神様をさらに強く抱いて戦えるように準備しているように見えた。
「この痴れ物どもが」
そう電撃のようなものを禊さんが迸らせるが、ディアボロス侯爵もバウルも全く相手にしていない。
どうやら、フリヒリムスさん達と同じレベルの強さらしい。
心の師匠のカルロス一世が水の壁のようなものをバリアの周辺にまとわせた。
「氷燐」
そして、雪龍さんがそう呟いた。
いきなり周りに氷の柱が立ちだして、心の師匠のカルロス一世の出した水の壁が一瞬で凍って、俺達のバリアのまわりにも膨大な氷の壁が幾重にも積み重なる。
ぶっちゃけ、心の師匠のカルロス一世と雪龍さんは自分達を守るためにバリアをさらに強化していた。
「ええええ? 」
神無月涼さんが凄く動揺していた。
修二さんを心の師匠のカルロス一世が見捨てると思わなかったんだろう。
だけど、心の師匠のカルロス一世の表情を見る限り、何かを察して動いているように見えた。
そして、それはすぐに分かった。
いきなり信じがたいスピードで修二さん達が氷でさらに強化されたバリアの背後に回る。
「おいおい、隠れてるつもりかよ」
「無駄な事ですよ? 」
などとバウルとディアボロス侯爵が笑った。
「どうも、義兄の事を全然わかってないみたいだな」
「ずっと傘下として生み出されたけど、バウルとかは修二さんに対抗していて会わなかったそうだし、ディアボロス侯爵も義兄弟の方には会ってたみたいですが、あまり修二さんには関わっていないとか聞いてましたが」
心の師匠のカルロス一世とアポリトさんが呟いた。
その瞬間、修二さんがバリアを張って、自分と神子と禊さんを守った。
そして、それと同時に蒸発するような爆炎がこちらに直撃した。
一瞬にして心の師匠のカルロス一世と雪龍さんの共同で作った氷の壁が蒸発した。
そう爆龍王ゴウオウが爆炎をこちらに吐き出したのだ。
「あああ? 」
「義兄に見せつけたかったんだろうけど、あれだけ殺意のある力の発揮をしてたら、そりゃ爆龍王ゴウオウが敵と思って攻撃してくるよな」
唖然としている神無月涼さんに心の師匠のカルロス一世が苦笑して話した。
つまり、修二さんは爆龍王ゴウオウにぶつけようとしていたって事か……。
「多分、俺らにもぶつけようとしていたと思うぞ。あの親子は昔からそういうのが得意だからな」
そうアポリトさんが笑う。
「馬鹿なっ! 」
ディアボロス侯爵が叫ぶ。
流石の爆炎の直撃でバウルさんもディアボロス侯爵も慌ててバリアを張ったものの、それに合わせて修二さんが指を鳴らした途端バリアが消えた。
何かの力でそのバリアをリセットして消去したらしい。
彼らの能力をその瞬間に使えなくしたようだ。
「うぉぉおぉおおぉぉおお! 」
「なぜっ! 」
バウルさんとディアボロス侯爵が絶叫しながら燃えていく。
「多分、自分が創造した以上、自分に反乱とかされた時にその力を止めれるような仕組みを彼らに持たせていたのだろうな」
個別にそれをやると相手に知られるので、それでここに一気にやれるように爆龍王ゴウオウの所へ誘導したようだ。
なるほど、凄くタチが悪いが、アメリカは同盟国にすら売った戦闘機にキルスイッチと言う自国と戦闘機を買った国が戦争になったら、即座に戦闘機を使えなくするシステムを入れてあるそうだから、普通に用心深い修二さんならするよな。
「えげつない」
「まあ、保険としてはありだな」
それを見た祝融さんと心の師匠のカルロス一世が呆れた顔をした。
おかげで直撃した爆炎にバリアの無くなったバウルとディアボロス侯爵が直撃して肉体もドロドロに溶けてしまった。
ただ、魂は溶けた肉体から、どこかへ飛んで行った。
なるほど、魂がまた身体を再生して復活するのか。
不死って凄いなぁ。
「とうとう奥の手を使う事になるとはなぁ……」
凄く修二さんが残念そうにつぶやいた。
助けてもらったから、黙っているけど、光の混沌の女神様の少女はちょっと批判的にじっと修二さんを見ていた。
それで、心の師匠のカルロス一世が苦笑していた。