全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十五部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 激突 第二章
「一体、どんだけやばいの? っていうか、御堂祐樹の周りってそんなのばかりなのか? 」
叢雲さんが驚いたように聞いた。
「……デストロイヤーとジェノサイダーばかりだからな」
「修二さんも子供の時に闇組織と戦って虐殺しているし、そんなのばかりが集まっているというか……」
「水滸伝みたいなもんなんだな。あれも客を毒殺して騙してお金を奪っているような奴まで好漢として面子にいるし」
心の師匠のカルロス一世や祝融さんの言葉が辛い。
「つまり、援軍と言うよりは、爆龍王ゴウオウみたいな奴ばかりと言う事なんですよね。じゃあ、諦めましょうよ。自分達でした方が良いのでは? 」
「いや、龍女さんなんかは非常にまともなんだけどな。通信方法で龍女さんだけに連絡できたらいいけど、多分、横から、その通信を拾うよな……燐女さん達の強襲型の蒼穹船の方でも……」
「獅子の軍団と同じで戦闘狂ばかりでは無いと言う事ですか? ひょっとして、普通の通信の方法でなくて、救難信号みたいなの出せますか? 」
俺がふと思いついて聞いた。
「ん? どういう事? 」
アポリトさんが聞いてきた。
「いえ、お調子者でデストロイヤーだと言う事はなんとなくわかりました。それなら、逆に救難信号みたいな地味なのを出せば、無視するのでは? 活躍する場所では無いとみなすでしょうし」
「なるほど! 」
「それはいけるかもしれんな」
好戦的な奴に限って、地味な救助とかはしないものだ。
そういうパターンが当てはまるかと思って聞いた。
そうしたら、どうやら燐女さんの性格はそうらしい。
アポリトさんも心の師匠のカルロス一世も俺の提案に深く同意してくれた。
爆龍王ゴウオウと同じ系統なら、多分、好戦的でお調子者だから地味な救助なんて眼中に無いはず。
そして、直接連絡するのでは無く地味な救難信号とかなら見逃すはず。
下手にちゃんと連絡すると助けに行くイコール目立てると言う事になって、わらわらと仲間と助けになるのか分からない感じでやってくるだろうが、単なる地味な救難信号なら来ないだろう。
特に、龍女さんが非常にまともなら、こんな状態で救難信号を出すとしたら俺達くらいしかいないって理解してくれているはずだし。
「いやいや、大したもんだな。これが次期当主なら12月家の最弱とか自分で貶すが、そんなことは無い」
「いや、追放ですけどね。その後、殺されるかも」
激賞する祝融さんに冷ややかに答えた。
「うーん。世界政府の方で何とかしてやるよ。世話になっているし」
「お、俺も出来ますか? 」
思わぬ祝融さんの提案に顔が綻ぶ、そして、涼月東が食ってかかかる様に俺も俺もと頼み込んでいた。
「しょうがないな。ここまで一緒に戦ったわけだし」
「よしッ! 」
「やった! 」
俺と涼月東が喜んだ。
「別に12月家の当主として助けるけど? 」
などと神無月涼さんが話すが、悪いけど12月家は信用できなかった。
そもそも、叔父が代理で無茶苦茶やっているみたいだし、神無月涼さんは家族を守るので精一杯では。
などと思ってたら喋っていたらしくて神無月涼さんが暗い顔になった。
「救難信号を出したから」
アポリトさんが暗くなった神無月涼さんに気を使って、そう告げた。
これで何とか助かれば、何とかなる。
そう俺達は思っていたら、目の前に巨大なドラゴンが降りてきた。
「ど、ドラゴン? 」
「はああああ? 」
俺と涼月東が動揺して叫んだ。
俺達の世界にはドラゴンとかいないし。
70メートルはある。
「おお、雪龍殿か」
などとアポリトさんが嬉しそうに声をあげた。
と言う事は援軍なのか。
「いや、御堂祐樹の許嫁で妻の一人だが……」
などと心の師匠のカルロス一世が説明してくれたので固まる。
「「えええぇぇえぇえぇええぇえ! 」」
御堂祐樹はドラゴンまで嫁にしてんだ。
異類婚姻譚にもほどがあるだろ。
漫画とか小説では見るけど、現実で見るとインパクトが凄い。
ちょっと、生き残る自信が無くなった。