全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十五部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 激突 第一章
「どうする? こういう時だけは正確にこっちに向かってきやがる。このままだとこちらに来るぞ? 」
心の師匠のカルロス一世が呻く。
索敵映像はまっすぐにこちらに向かってくる爆龍王ゴウオウの姿があった。
「一回目のアメリカでもヨーロッパでも何しに来たのか分かんないけど、一直線に大陸を横切って破壊して消えた奴だからな」
「別の方角に向かってくれたらよかったのに、360度もあるのに何で、こっちに? 」
「そういう意味不明の直感だけはあるからな。その直感で今回も降りてきたんだろう。ただ、役に立たない直感だから、本来なら獅子の軍団の戦っている場所か、光の混沌の女神様のところに落ちるべきなのに……」
「単なる馬鹿じゃないですか」
「「だから馬鹿だと言っている」」
俺が思わず突っ込むと、心の師匠のカルロス一世とアポリトさんが冷ややかに返答した。
状況が悪くなる一方だ。
「一か八か、救援信号を出して、蒼穹船を呼ぶかだ」
「何だ、そんな手もあったんだ」
「最初からそれで良かったのでは? 」
アポリトさんの呟きで涼月東と俺も唖然として突っ込んだ。
「いや、あるんだがな……」
「ああ、やっぱり強襲型の蒼穹船も大量に来ているんだ……」
「あれは、どうなんだ? 爆龍王ゴウオウ並みにジェノサイダーだろ? 」
アポリトさんの困惑した言葉に、心の師匠のカルロス一世と一条和馬の不安そうな言葉が続く。
「なんなんですか? 救援を呼ぶしかないのでは? 」
神無月涼さんが助かる為に必死なのか声を少し荒げて叫んだ。
「いや、爆龍王ゴウオウみたいに強くないんだけど、碌な事しなくてな。配下の強襲型の蒼穹船がいっぱいついて来ているなら、間違いなく碌なことをしない」
アポリトさんのぽつりぽつりと話す話が辛い。
「何なんです? まだそんなモンスターっているんですか? 」
などと神無月涼さんが必死だ。
「モンスターと言うか獅子の軍団の龍女さんみたいな燐女さんと言う御堂祐樹の嫁だな。何か知らないけど、トラブルを起こして、昔はつまんないことで六億人が巻き添えで死んだとか……」
「救援と言うより、トドメになるかもしんないんだよな。この状況の……」
「まだ、そんなのがいるんですか? 」
心の師匠のカルロス一世とアポリトさんの呟きに涼月東が呻く。
俺も心が悲鳴をあげそうになった。
なんで、そんなのばかり連れて来たんだろう。
救援にならないじゃん。
「ついて来たんだろ。そういう感じの子だから。とにかく、顔を突っ込みたがるんだ。爆龍王ゴウオウと同じ系統だな。本人は素晴らしい事をしているつもりだけど、実は反対方向の事をしていると言う感じだ」
一条和馬が冷ややかに答える。
すでに諦めの顔が皆に見える。
「いや、しかし! このままでは爆龍王ゴウオウがこちらに来てしまう! 」
神無月涼さんが妻や子供の為に何としても生きて帰ると執念すら感じろ。
さっき、遺書は書いたんだから、諦めたらいいのに。
「諦めきれないよぉぉぉ! 」
俺の喋ってしまっている言葉に反応して叫んだ。
「でも、他に方法は無いんだが、どうするの? 一直線に爆龍王ゴウオウが破壊しながら向かってきているし」
叢雲さんの言葉が辛い。
結局、蒼穹船に連絡するしかないと言えば、それしかないのかもしれない。
だが、その手の人物が来るのは、爆龍王ゴウオウがその答えを出しているとはいえるのだが、どうするのか。
心の師匠のカルロス一世とアポリトさんと一条和馬は考え込んだままだ。
「え? そんなにやばいの? 」
叢雲さんが、この危機的状況でも心の師匠のカルロス一世達が悩んでいるので、ビビりだしていた。