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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十四部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 死闘 第六章

 全員がアポリトさんの索敵映像に釘付けである。


 流石の超重量だ。


 しかも、逆効果なのが分かっているのに降下時に巨大化している。


 アホじゃないのか?


 着地の時の衝撃が増えるだけではないか。


 正気の沙汰とは思えない。


「アホだぞ」


「アホだから」


 心の師匠のカルロス一世とアポリトさんの言葉が辛い。


 そして、凄まじい破壊音と衝撃音が続いた。


 着地ではなく、着弾したと言えるかもしれない。


 何しろ、超巨大な爆発音で着地した場所をクレーターのようにしただけでなく、すごい勢いで階層をぶち抜いて底に向かって落ちていくのだ。


 アポリトさんの索敵映像から底の底まで落ちたのが分かった。


「本当に、何しに来てんだ? 」


 アポリトさんの言葉が辛い。


「それよりも、映像を着弾した周りの地上に移してくれ。まずいな。ここは距離があるから大丈夫だと思うが、連鎖的に星に階層崩壊が広がりだしている」


 一条和馬が歯ぎしりをするような顔で現状を呟いていた。


 何しろ、ただでさえ崩壊しているのだ。


 そこで、こんな隕石爆弾みたいなのが来たらどうしようもない。


 実際、フリヒリムスさん達とルドラさんが戦っているあたりは、もうどうなっているか索敵映像で把握できないくらい崩壊していた。


「光の混沌の女神様の方は大丈夫なのだろうか? 」


「まあ、修二さんがなんとかするのでは? 」


 などと神無月涼さんの懸念を救いがない様な結論で叢雲(むらくも)さんが答えた。


 一番あてにならない人だからなぁ。


 そして、こちらもピンチなんで、それどころじゃない。


 俺達の近くの階層を、索敵映像でアポリトさんと一条和馬が確認してほっと息をついていた。


 どうやら、距離があるので何とかなったっぽい。


 それで再度、アポリトさんが爆龍王ゴウオウが落ちたあたりの深い深度にポイントを合わせて、索敵画像を映す。


 どうやら、動いてないようだ。


 死んだのだろうか。


 普通に死んでおかしくない状況だし。


「いや、あれで死ぬなら、俺達も本当に苦労はしないんだけどな」


 などと心の師匠のカルロス一世の言葉がキツイ。


「動いた」


「ピンピンしてやがる」


 そう皆の呆れた声がする。


 爆龍王ゴウオウが平気で動き出している。


 深い深い原初の本当の地上の部分でそれは活動を始めた。


 とはいえ、深すぎて何が何だか訳が分からないようで、おろおろしているように見える。


 地表でなくて、深い深い地下なら、そうだろうな。


「まずいな。馬鹿なことするぞ? 」


 心の師匠のカルロス一世の辛い一言が出た。


 馬鹿な事とは? 


 そうしたら、索敵映像がそのあたりが赤くなった。


「爆炎攻撃を始めたらしい」


「まずいぞ! あんなとこでそんなものしたら……やっぱりっ! 」


 アポリトさんの言葉に祝融さんが続いた。


 横に攻撃したはずの爆炎攻撃は真上に突き抜けていっていた。


 火の通り道を自分が落下して穴を開けまくって作っているのだから。


「煙突効果だ」


 キャンプとかでご存知の筒状の中で火が上に向かって燃え上がる現象である。


 一気に燃え上がるので炭に火をつける時に使ったりする。


「最悪だ」


 俺が呻く。


 関東大震災で業火になったのはビルが同じ効果をもたらせたからだ。


 正直、今の東京とか見ると、それは全く対策されてないように見えるが、これはやばいのだ。


 爆龍王ゴウオウが自分で突きぬいた階層の地下への穴がちょうど煙突効果をもたらしている


 その容赦ない炎は次々と周辺の画面を真っ赤にしてた。


 多分、燃え広がっているのだ。


 しかも、タチが悪い事に、それに巻き込まれて自分が死ぬことは無いらしい。


 走り回って、爆炎攻撃を爆龍王ゴウオウが続けていた。


「あああああああああぁあぁぁああ! 」


「何しに来たんだよ、あいつ! 何しに来たんだよ、あいつ! 」


 祝融さんの独り言が辛い。


「俺達を助けに来たんじゃないんだ……」


 涼月東の言葉が辛い。


「暴れに来ただけだろうな。昔っから、ああだからな」


 アポリトさんの言葉が辛い。


 どうも、無敵の肉体のせいで、全然、やった事がどういう事をもたらすか、理解できないらしい。


 無敵の身体を持つだけに弱者である俺達がどうなるかとか気にもしていないのだ。


 援軍ではなく、まるで放火魔が到着したようなもんである。


 この星が……燃えてしまう……。

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