全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十四部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 死闘 第四章
「ああ突撃体制に艦隊が移行している」
アポリトさんの言葉が怖い。
さらにこの城の崩壊を招くのだ。
地層のような階層がさらに破壊されるのだ。
もはや、悪夢でしかない。
「しかも、ルドラの兵がある程度減るのを待っていたな。おそらく、一緒に潰すつもりだろ。厄介な話だ」
心の師匠のカルロス一世がため息をついた。
「だが、連携が無いのは逆に有難いぞ。こちらも厄介な話が無くなる」
「というか、雑な奴なんじゃないかな? この創造主。面倒くさいんだろ? 助ける奴と助けない奴とか考えるのが……」
祝融さんの言葉に心の師匠のカルロス一世が救いようのない話をした。
つまり、自分だけ良ければと言う、どうしょうも無い奴がまた増えたと言う事だ。
果てしなく、屑が集まっていくと言う事か。
「まあ、普通に今までちゃんと治世を行っていた混沌の女神様を潰して地位を奪おうと言うのだから、そんなのばかりだろ」
「まあ、そうですけど」
俺が喋ってた話に突っ込まれて、しょうがなく納得した。
確かに、その通りだし。
「あーあー、どうするかな? どうせ、そういう奴なら、一気に惑星外から攻撃で潰してくるだろうし。そうなると、ここまでボロボロのこの場所が持つかどうか」
「え? 持たないんですか? 」
「見たら分かるだろ? 一気にやるつもりなら、フリヒリムスさん達にも打撃を与えるわけだから、相当な攻撃が来る。多分、どんなのが来ても、獅子の軍団ともう一人のミツキさんは大丈夫だから、配慮しなくて済むし」
一条和馬の涼月東への答えが切ない。
「そうか……。やはりもう一人のミツキさんと獅子の軍団は無事なんだ」
「殺しても死なないよ。それと光の混沌の女神様も大丈夫だろうし、重要な場所は破壊されない。掃除にちょうど良いって感じになる」
「掃除……」
神無月涼さんが呻いて目を瞑る。
とうとう絶体絶命になった。
終わるのか、俺の人生。
死ぬなら、畳の上が良いなぁ。
こんな誰が死んだかわからない死に方なんて……。
そう喋っていたら、神無月涼さんがはらはらと涙を流した。
何という現実。
いとあはれ。
その時、凄まじい爆発音が連発した。
始まった。
「終わりの日ですか……」
空しく涼月東が呟いた。
だが、激しい爆発音は続いたが、それは俺達のいる場所の破壊をもたらさなかった。
「良かった! 助かった! 来たぞ! 援軍が! 蒼穹船だ! 龍女さんが来た! 」
アポリトさんが初めて微笑んだ。
「おおおおおおお、蒼穹船かっ! 」
祝融さんが感動している。
これは俺達の世界と向こうの世界が戦いになった時に中核で動く伝説的な超巨大戦艦らしい。
12月家にも伝承があるのだから、それはどれほどの物か分かるだろう。
あちらの世界の神話の超巨大戦艦が戦っているのだ。
「ふぅぅぅぅぅ」
一条和馬がほっとした顔をした。
「あ? 」
その瞬間にアポリトさんの顔が歪む。
「ど、どうしたっ? 」
心の師匠のカルロス一世がその異変に気が付いた。
「降下してくる……」
声がいくばくか震えながら、アポリトさんが呻いた。
「何が? 地上部隊でも来るのか? 」
などと矢継ぎ早に一条和馬が聞いた。
アポリトさんの顔が歪んでいるから、あまり良い話ではないのだろう。
「爆龍王ゴウオウが……」
アポリトさんの何とも言えない顔が凄い。
「いやいやいや! それは駄目だろっ! 破壊の馬鹿が降りて来てんじゃん! 」
心の師匠のカルロス一世が叫ぶ。
「爆龍王ゴウオウって、一回目の時に、あの意味不明のヨーロッパとアメリカを横断して破壊していった馬鹿かっ! 」
祝融さんの動揺しまくった顔が凄い。
俺も涼月東もまだ爆龍王ゴウオウがどんなものなのか良く知らなかった。