第二十二部 第四章 太古の古(いにしえ)の血
「海の方でリヴァイアが猛爆攻撃しました」
アオイが会議室にいる皆に周知するように言った。
「なに? 何かあったの? 」
と言いつつも雰囲気が変だ。
「街の方にも魔の気配があるわね」
ミツキもかなり警戒してる。
「これ、ひょっとして、アマゾネスから全部罠かな? アマゾネスが俺を婿に指定したのも、ここに誘導する為だったり」
俺がうんざりした顔をした。
「それは無いと思うけど? ただ、長老の願いとか言ってたから、なんらかのつながりはあるのかな? 」
マリナが答えた。
「とりあえず、えくすかりばぁとかを渡したのは、ここに来るのが分かってたからって事か? 」
「確かに、誘導してるかもね。いきなり<終末の子>が婿に選ばれるのもおかしいし」
ミツキが断言した。
「封印された娘にエクスカリバーを渡す事は出来ないようにヤマトの国自体に結界が張られてたからな。ただ、<終末の子>に宿らせれば、その結界は無意味になる。もう、すでに結界は破れたと言う事だ」
いつの間にか、目の前に聖王らしいものがいる。
しかし、すでに、こないだのアーサー王のコスプレはしてない。
それどころか、鎧も着ていなかった。
全身に獣のように毛が生えて、目が赤い。
「えらく感じが違うんですけど」
「ははは、油断させるためには化けるさ。先祖だと思って安心しただろう? 」
「……あんたは何がしたいんだ? 聖王」
「異端の娘の血を残したかったが、残念ながら猛禽や修羅が出来るための法律を作っても、娘には相手が出来なかった。相手を殺してしまうからな」
聖王らしきものが真赤な口を開けて破顔する。
「異端の血とは何だ? 」
国王が聞いた。
「神族として認められなかった、太古の古の血よ」
聖王が笑った。
「あの、とりあえず、パトリダに帰っていいでしょうか? 」
俺が笑った。
「おーい、お前、空気を読もうよ」
カルロス一世が突っ込んだ。
「いや、何か話が重すぎて。そもそも、俺は商人ですし」
俺がドン引きしてる。
「かまわんぞ? ただ、お前に預けたものは返して貰う」
聖王が手を差し出すと、俺の下半身が光り出した。
正直、何か恥ずかしい。
「ああ、えくすかりばぁ君がぁぁあ」
「嘘! 」
許嫁が俺と方向性の違う悲鳴を上げる。
「結界を抜けるまで、良くやってくれた。褒美に良いものを見せてやろう」
笑顔で聖王が言った。
その瞬間、ダグダ師匠が抜刀して斬りつけた。
それを寸での感覚ですり抜けるように窓の外へ聖王が飛び降りた。
「まずいな。あれ、多分、我々の時代に封じた魔の気配がします」
ダグダ師匠が珍しくうろたえてるようだ。
とりあえず、どうしょうか。
困ったもんだ。