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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十二部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 突撃 第八章

「そう言えば、あのヒモはどこにいるんだ? 」


 祝融さんが御堂祐樹に対する敬礼を止めて、ふとアポリトさんに聞いた。


「多分、これだと思う」


 そうアポリトさんが索敵映像を指差した。


 そこには誰かを連れた影絵のような様子が見える。


 となりには小柄の影絵のような人物もいる。


「光の混沌の女神様の救出には成功したんですね」


 俺が驚いて呟いた。


「ああいうのは義兄は得意だから。格納庫の体当たりのどさくさで連れて逃げているんだろ」


 心の師匠のカルロス一世が苦笑した。


「となると、俺達が行くのはこっち側だな」


 そう一条和馬が戦いの最前線と光の混沌の女神様の撤退しいる場所以外の方向を指し示す。


「ここにいた方が良いのでは? 」


 神無月涼さんがそう話す。


「いや、こういうのは移動しないと駄目だ。絶対にこっちまで戦闘は来る」


 そう戦いの予想している進行方向を索敵映像に指でなぞって見せた。


 つまり、修二さんの逃げているコースともう一人のミツキさんと戦っている獅子の軍団達を一直線に引くと、ここを通ると言う予想らしい。


「いや、獅子の軍団がもう一人のミツキさんを抑え込みませんか? 」


 涼月東が聞いた。


「いや、どちらのミツキさんにしても、そのいつもの攻撃の仕方にしては時間がかかり過ぎている」


「攻めあぐねいている感じもあるな」


「多分、御堂祐樹が双方の盾をしているから破壊的攻撃ができないのだと思う。そういうのを考えてするところは甥にはあるからな」


 一条和馬の判断に祝融さんや心の師匠のカルロス一世が分析した。


 確かに、愛する人が目の前でちらちらして攻撃を受けていたら、どうしても攻撃が致命的なのは使いづらいな。

 

 御堂祐樹を巻き込んでしまうし。


「大変ですね。御堂祐樹も」


 涼月東の言葉に頷いた。


 彼の苦悩が初めて分かったような気がした。


 その時激しい振動で周辺が揺れる。


 どうやら、別の部隊が援軍で現れたようだ。


 索敵の映像の片隅から軍隊みたいなのが見える。


 それの遠距離攻撃で俺達の瓦礫のシェルターがゆさゆさしている。


「とにかく、こっちの方向に皆で移動します」


 一条和馬がそういうと器用に屋根の瓦礫を支える鉄骨のバランスを見ながら次々と別の鉄骨を使用して、シェルターの形のままで移動を始めた。


 何という有能なスキルだ。


 異世界漫画とかでチートスキルはたくさんあるが、隠れたまま移動する為の絶妙な鉄骨配置移動スキルなんて、普通は無いだろう。


 少しでも間違えたら崩れるかもしれない。


 そんなドミノ倒しのような緊張感のある作業を一条和馬が黙々と続けていた。


 それにしても、全然違う軍隊が攻めてきたようだ。


 別の世界の創造主のもう一人のミツキさんに対する援軍かもしれない。


 もう一人のミツキさんと修二さんなら同じここのミツキさんと修二さんを見ても、何をやってもおかしくない。


 その時に壊れた格納庫のがれきの下で動かないままだった鉄のゴーレムが一斉に動き出した。


 光の混沌の女神様の解除で格納庫の時間停止は無くなったが、彼らの時間停止はそのままだったから強力だ。


 そのせいで俺達のシェルターも剥き出しになる。


 混沌の女神様と混沌の女神様の後継者の少女の魂を持つものの関係者は敵認識されていないようだが、それ以外は別らしい。


 無敵の鉄のゴーレム達が瓦礫を撥ね退けて全然違う軍隊に動き出す。


「逃げろ! 」


「あの建物に移動するぞ! 」

 

 それぞれが叫んで一気にむき出しになった瓦礫の中から走る。


 その瞬間、鉄のゴーレムのロケットパンチが降りてきた異世界の創造主の軍艦達を次々と破壊していた。


 100体くらいの無敵の鉄のゴーレムが動き出したのだ。


 まるでミサイルの連続発射みたいだ。


 空を飛んでいる宇宙戦艦が爆発して轟音を立てて落ちてくる。


 背中のハッチを開いて新しいロケットパンチの腕を取り出して来て取り付けては発射している。


 ゴーレムなだけに中は空洞だ。


 そんなとこに予備のロケットパンチの腕を入れていたのか。


 ちょっと普通では考えられない方法だ。


 これなら、頭部に何故か60ミリバルカン砲とか搭載して、一体、その弾はどこに入れてんだって問題は無い。


「いや、呑気ですねぇ」


 などとこの非常時に涼月東が俺に突っ込んできた。


 現状の凄まじい時刻絵図から気持ちをそらしたいだけである。


 そんな感じで俺達は命を守るために次の建物から建物へ全力で走って移動する。


「何というか、決着がつくかもしれない戦いかもしれないのに、全くミツキさんと御堂祐樹の様子とか全然、自分の目で確認できないですね」

 

 涼月東が呟いた。


「いや、自分の命の方が大事だろ? 」


 どうせ、文月家の次期当主も無いし、そこまで義理立てする理由がない。


 終わればどうなったかわかるだろうし、誰も文月家にこのことを言うやつはいないから、神無月涼さんと口裏合わせればいい。


 正直、それどこじゃないし。

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