全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十一部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 先手 第七章
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが動揺しまくっている時に、突然、窓のようなものが彼の目の前に現れた。
それが目の前で開くと美しい女性が見える。
たしか、副官のフラウィア・ユリア・テオドラだ。
「緊急回線だと? 」
「大変です! 我々の世界が別の世界の創造主から攻撃を受けました。おそらく敵は辺境にいる創造主のフェンカーです! 」
「な、なんで奴が? 混沌の女神様に処分を受けて、力を封印されて幽閉されせているはずだ! 」
「わかりません、封印されたはずなのに自在に力を駆使しております。かっての強さすら凌ぐ勢いです! 申し訳ありませんが早くお帰りくださいませ! 」
「いや、こちらも光の混沌の女神様が襲撃を……これも陽動か? 」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが動揺しまくっている。
でも、多分、その話が本当なら、幽閉を解いたのはもう一人のミツキさんか奇麗な修二さんになる。
「行ってくれ。もう一人のミツキが、ここにいるミツキと同じ性格なら、単なる陽動じゃなくて、その創造世界を滅ぼすだけの準備をさせているはず」
御堂祐樹がそう真顔で忠告した。
横でミツキさんが当たり前って感じで胸を張るけど、それは笑えない。
「しかし! 」
「こちらは家族の問題だ! 混沌の女神様も俺の母さんだ! だから、俺がやる! 」
御堂祐樹がそう言い切った。
家族という言葉を出した時点でガチの本気だと分かる。
それでカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさん考え込んだ。
「私も御堂祐樹と行くよ」
「当然、大妃様に続いて我らもだ。あんたもフェンカーごときに負けるなよ」
「結構、フェンカーも創造主の中では武闘派で有名ですけどね。うちほどじゃないけど」
ラドウルスさんがカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんを励ましたフリヒリムスに突っ込んだ。
「……分かった。こちらをかたずけて、そちらに行くが間に合わないとは思う。だから、よろしく頼む」
初めて、御堂祐樹に頭を深々と下げるカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんを見た。
そして、振り返りもせずに、さっきの窓みたいなところに飛び込んでいく。
窓から元の世界に帰れるんだ。
逆にそちらの方に驚いた。
「では、一回目の時、この世界での私達の獅子の軍団の最初の戦闘って事ね」
アオイさんがそうくすくす笑った。
真面目に急に殺気だって来たので怖くなってきた。
レイナさんもキョウカさんも殺気が迸り始めている。
本当に猛獣がそばにいるような恐怖を感じる。
そりゃあ、獅子の軍団と言われるわけだ。
「いや、家族なんだから殺さないでよ。向こうのミツキもミツキなんだから」
必死に御堂祐樹が話すが相手にされていない。
聞いちゃいねぇ。
恐ろしい。
援軍のつもりが、かえって滅ぼすような展開になりそうだ。
そうしたら、ポンと心の師匠のカルロス一世が俺の肩を叩いてにっこりと笑ってくれた。
即座に、それの持つ意味を俺も理解した。
叔父と甥と姪の関係からしたら、自分が最初にそれを言うのは憚られるのだろう。
確かに、その通りだ。
「コホンッ! ここで皆さんの勝利をお祈りしております」
そう俺が咳払いして微笑みながら獅子の軍団や御堂祐樹の皆に手を振った。
涼月東も続いたし、もちろん、心の師匠のカルロス一世も続いた。
そして神無月涼さんだけでなく、一条和馬も微笑んで手を振っていた。
叢雲さんすら手を振っている。
当たり前だ。
もう次元の違う戦いはお腹一杯。
獅子の軍団の現実も目の前で見ているし。
何、この超戦闘集団。
ありえないだろ。
普通じゃないよ。
全員戦闘に行くのが、うれしそうな顔しているし。
麗さんも同じなのを見て、ちょっと悲しい顔を見せた祝融さんも迷った末に獅子の軍団に手を振っていた。
「待ってください。これ、時を止めた完全防御の格納庫ですか? 」
そう禊さんが目を輝かせる。
えええ?
「外のまつろわぬもの達を早く格納庫内に入れて! 」
ミツキさんが叫ぶ。
禊さんの意図を即座に見抜いたようだ。
俺たち全員が血の涙を流した。
これごと行くのかよ。
逃げれないじゃん。
絶望的な顔に俺たちがなった。