全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第六十一部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 先手 第一章
「もう、お兄ちゃんったら……」
ミツキさんがデレデレである。
御堂祐樹の頬をツンツンしている。
余程、御堂祐樹が怒った理由がうれしかったらしい。
「よし、お前に妹の方は譲ろう、私が妻の方を貰う」
などと大妃さんが横で必死だ。
気絶から再度目が覚めたフリヒリムスさんとかラドウルスさん達まで冷ややかにそれを見ていた。
ミツキさんはそれを無視して妹のポジションで御堂祐樹にイチャイチャしている。
「まあ、いつもの光景ですよ」
「昔の獅子の軍団で一緒だった時もこんな感じです」
そうレイナさんとかキョウカさんが苦笑した。
ヤマト皇家以外のイジュウインアンナさんとかも笑ってた。
どうやら、一回目の記憶が大妃さんにはあるらしい。
このあたりの混沌の女神様の匙加減が良く分からない。
それにしても、御堂祐樹の許嫁がヤマトの皇家とその重要家臣の集まりみたいな感じだ。
特に問題はミオさんとユイナさんである。
15歳だって。
日本なら中学三年生だよ。
えええええって感じである。
可愛いけど、見た感じが幼いので年齢を聞いたらそう言われた。
良いのか、こんな犯罪。
許されるのか犯罪。
「私、16歳ですけど」
などとアオイさんが喋っていた俺に突っ込んできた。
おおおおおぉぉ、まあ若いと思ったんだけどさぁ。
「泣けてきますね」
「もう泣いてるやん」
涼月東が両目から涙を流し続けていたので俺が突っ込んだ。
何という異世界万歳。
日本じゃ考えられねぇや。
「なんなら、若い女の子を紹介しようか? 」
キョウカさんがそう宣った。
「ええ? 本当ですか? 」
「マジですか? 」
などと俺達が色めきだった。
だって、恋愛とかする暇ないし、どうせ文月家から追放だし。
そしたら、一条和馬がポンと俺の肩を叩いて、凄い恐ろしげな顔で首を静かに振った。
そして、その先には必死になって手を止めとけと言う感じで振る心の師匠のカルロス一世が見える。
そう言えばやばいとか言ってたよな。
いろいろと。
でも、目の前の美しいお姉さんとか見ている限りには、あまり恐ろしいとか騒いでたようには見えないのだけど。
「どうでもいいけどさ。どうするの? 今後は? 」
麗さんがそこに集まっているミツキさんをはじめ獅子の軍団に話しかけた。
それは確かに大事な話だ。
「もう一人、これがいるんだろ? 大した問題ではない」
などと大妃さんがミツキさんを指さして苦笑していた。
確かに、この人が最強らしいからな。
「微妙だぞ? 」
などと修二さんが声をかける。
「後継者の少女の魂を一番集めているらしいし、厄介だとは思う。まあ魂がどれだけ力に影響しているかは分かんないけどな」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんも同意した。
「北派の連中をあれだけ復活させたんだ。簡単にはいかないと思うけどね」
「なんか引っかかるけどね。こちらのミツキちゃんを見る限りでは、ヤマトの皇帝としての威信とかくらいはあるけど、まつろわぬものの絶望を生き返るほどの希望に変えるような次元の違うカリスマ性とまではいかないように見える」
「何かあると言うのは間違いないんじゃないか? 俺の分離体も何かありそうだったし」
エリンギさんとガマガエルのような鬼さんと修二さんも同意している。
何か無いと動かないよな。
ある意味、死者が生き返るほどって話だから……。
「ところでツキヨ曾祖母とかはどうしたんだ? 」
修二さんの疑問に全員がミツキさんとか大妃さんを見た。
「振り切ってきた」
「振り切ったぞ」
などとミツキさんと大妃さんが微笑むので全員が深い深いため息をついた。
格納庫から出てきたのが分かったので全員で一気に離脱したらしい。