全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十九部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 北派 第二章
「止めれないんだ」
「いや、お前もあいつの面倒くさいの知っているだろ? 」
「マジで覚えてないのよ。一度死んでるし」
御堂祐樹の突っ込みにドラクネスさんが答えるが御堂祐樹も覚えて無いらしくて、ますますどうしょうもない。
おかけで話す話も尽きてしまって、ただただ格納庫の中が爆撃のように揺れ続けている。
たまに、フリヒリムスさんの叫び声が聞こえて、反撃をし続けているのが分かる。
なんだか、凄く鬱になりそうな展開だ。
「全然、終わりが見えねぇよ。自分の創造している世界すらほったらかしにしてんのに。全然終わらねぇよ。なんなんだよ。ずーっとずーっと続いてんだよ。いい加減にしろよ。何で終わらねぇんだよ……」
この鬱々とした雰囲気のせいか、とうとうカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが愚痴りだす。
「俺も命令じゃなきゃ、こんなの来なかったよ。ヒモのせいで碌な事が無い。大事な孫娘もこんな事になって……」
「こんな事ってどう言う事? 」
などと麗さんが祝融さんに食って掛かる。
「あああああ、断ればよかったな。12月家の若手当主とか言われて仕方なしで来たんだけど、家族の問題もあるし、断ればよかった」
神無月涼さんまで愚痴りだした。
それを言ったら俺もこんな馬鹿みたいな仕事を受けなきゃ良かったなとつくづく思う……。
思うが、妙に冷静な部分が微妙に引っ掛かっていた。
「これ、精神攻撃も同時にしてませんか? 」
アオイさんが突然エリンギさんに話す。
「多分ね。併用して攻撃してくるのは多いし。穴倉に閉じこもっているわけだから、それに単調な攻撃を繰り返してするのはおかしいよね」
「多分、仲間割れとかそういうのを狙ってんじゃないかな」
エリンギさんとガマガエルのような鬼さんがそう答える。
いや、確かに、急に俺も皆もネガティブになったもんな。
流石におかしいや。
涼月東なんか、床に顔を付けて伏せたままブチブチ言ってるし。
「……。これは何か意味があるのか? 」
叢雲さんが涼月東を見て俺に聞いてきた。
「いや、一番の若手なんで、大体年上のベテランが現場ではついているから、愚痴を他人に聞かれないようにする為に地面に口付けて愚痴る癖がついたそうで……」
「何故地面に口を? 」
「大体、文月家は読唇術が出来るんで、口を見えないようにしないとこちらが何を思っているかバレちゃうんですよ」
「なるほど、文月家って大変だな」
叢雲さんがそう同情してくれた。
多分、この状況で淡々としているので、そういうのに叢雲さんは耐性があるんだと思われた。
特に海外で傭兵やってたから、現地では相談する相手もいないし、ネガティブにならない様な性格なのかも。
「まあ、愚痴ってもしょうがないしね」
などと俺が喋っているので苦笑されてしまった。
「ぶっちゃけ、どうすんだ? お前くらいしか、この状況を切り開けないだろ」
心の師匠のカルロス一世が御堂祐樹に突っ込んだ。
それは俺も同意だ。
「いや、多分、地上部隊みたいなのが来ると見ているので、それで鉄のゴーレムもいるし反撃しようと思ってんだけど……あのフリヒリムスさんって人が反撃を辞めないから、いつまでも地上部隊が来ないんだけど……止めれないの? 」
「いや、あいつはそう言う性格だろ? 」
「何を今更っ! 」
「だから、俺は記憶が無いって言っているのに! 」
などと御堂祐樹とドラクネスさんとラドウルスさんが不毛な言い合いをしていた。
何というか、ここ……そういう問題児の掃きだめだよね。
俺も偉そうに言えないけどさ。