第二十一部 第一章 プロローグ
「魔人って? 」
俺が最高会議で皆に聞いた。
「聖王の晩年に産まれた末の娘が、凄い魔道の才を持っててな。最後まで結婚できずに、最初の修羅として魔人になっちゃったんだ。その呪いでえらい事になってな」
国王が深刻そうに答えた。
「記録だと、たくさんの男の人が干からびて亡くなったりしたんだそうな」
イジュウイン大公もそれに頷いた。
「はああ? 」
「それで、まあ、太古の遺跡に封印と言う事で、地下に祭殿作って封印して埋めたと」
宰相が渋い顔だ。
「なんで、太古の遺跡に? 」
「いろいろと封印しやすかったらしいんだ。遺跡を調査して魔法を研究してたらしくて、その遺跡自体が封印する形になってたらしい」
「で、それを今回刺激してしまったんじゃないかと言う事ですか? 」
俺が呆れた顔をした。
「まあ、元々近いうちに目覚めるとは言われてたんですけどね。伝承では魔人が起きるためには遺跡で発掘された何とかと言う変な聖具を使わないといけない事になってますが、まあそれが無いなら大丈夫かと思うんですが」
レイナさんが言った。
「向こうの世界で言ったらクンダリニーチャクラと言うんかな? 真言立川流とか玄旨帰命檀とかそう言うのと同じ系統みたいな感じの性魔術を使った聖具らしいんだよ」
宰相が説明してくれた。
そこまで聞いて思った。
待ってほしい。
脂汗が止まりません。
すげぇ、嫌な予感がする。
「あのレイナさん、その近いうちに目覚めると言うのは間違いない話だったんですよね」
「ええ、そう修羅の間では言われてます」
「まさか、まさか、その魔人とやらが探してるのが、エクスなんちゃらとか言う話では? 」
俺がガチで震えながら聞いた。
「ああ、良くご存知で。まあ、ちょっと恥ずかしい話なんですけど、エクスカリバーとか聖王が勝手に命名した聖具がありまして。その魔人が遺跡から発掘したと言われてるんですよ」
レイナさんが少し恥ずかしそうな顔をした。
やっぱりかぁぁぁあああああああああ!
あの聖王のやろう、俺を魔人に差し出す気だぁぁあああああ!
わざわざ、ヤマトに帰ってきて、魔人のいけにえですか?
最悪や!
「あの、そのエクスなんちゃらを持ってる人がいるとやばいんでしょうか? 」
ミツキがレイナさんに聞いた。
「ええ。あれで性エネルギーを集めて、復活に使うとか言われてます」
「もし、持ってる人がいたら、殺されちゃうんですか? 」
深雪が心配してる。
「いや、それは良く分からないのですが……」
レイナさんが言葉を濁した。
「まあ、ああ言うのは大体与太話だからな」
国王が笑顔だ。
「復活したら、この世の男を皆殺しにとか言われてますが、あんな男性器とくっつく聖具なんてあり得ないでしょ。普段は光ってるだけのものだけど、見る人によっては男性器のおもちゃみたいに見えるとか言うのも意味不明だし」
宰相も笑って言った。
「大体、男性器に聖具なんて馬鹿な話はあり得ないしね」
ミヤタ公爵も笑ってる。
聞いてて、脂汗が止まらない。
乾いた笑いが出る。
「我が甥はあれだな。女難の相もハンパ無いな」
カルロス一世が引き攣った笑いを浮かべた。
「どうするんじゃおい? 」
樹老人が俺を覗き込む様にきい。
「何か対策は無いんでしょうか? 」
アオイが真顔で国王達に聞いた。
「な、何かあるのか? 随分と聖具にこだわるじゃないか? 」
「エクスカリバーがここにあるんです」
ミヤビ王女が俺の下半身を指差した。
「「「「「はぁぁあああああああ? 」」」」
皆が絶叫した。