全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十八部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 秘密 第七章
「え? 祖母と曾祖母が主導で勝手に動いてんじゃないの? それで皆がこんな風に連動してって感じで揉めているというか……」
御堂祐樹が動揺したようにアオイさんに聞いた。
正直、俺もアオイさんの話と同じように感じていた。
まつろわぬ者同士の問題が根本だと思っていたのだが、どうも修二さんの動きが妙なのだ……。
「サヨお祖母様はツキヨ曾祖母様がかっての憎しみを思い出して動いているとこもあり、それと同時にやはり姉妹としての情もあると話していらっしゃったのですが、それが、どうも話がおかしな方に行くとおっしゃってました。正直、私もそれは感じていて、申し訳ないのですが、お義父様がその黒幕なんじゃないかなと思っております」
アオイさんがはっきりと言っちゃった。
だが、修二さんの表情は変わらない。
全然、表情の変化が無い。
アオイさんの修二さんの顔を観察しているような感じからすると、どうも疑っていたから、ここでそれをいきなり発言する事で修二さんの反応を見たいのだと思うのだけど。
全く修二さんには動揺とか見られない。
「俺は関係ないけどな」
その上で淡々と修二さんが苦笑した。
「いや、この面子で一番怪しいのはやはりあんたなんだがな」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが修二さんをじろりと見た。
「そりゃ、俺の事を大きく考えすぎだろ? 」
修二さんがさらに失笑した。
「まあ、戦闘になりそうになった段階で、格納庫の裏に一人だけ隠れているようなのを黒幕というのは難しいんじゃないのか? 」
「あんたはヒモだって決めつけてるからそう言うだろうが、俺だってまさかこんな地方の創造主が渾沌の女神様の最側近クラスだったって知らなかったしな。そもそも、それだけでも驚きなのに、混沌の女神様と緊張状態にある、その御姉妹のまつろわぬものとかとまで関係していて、自分の自らの血にまでまつろわぬものの血を入れている。それの関係で御堂祐樹にもまつろわぬものの血が混ざっている。これで何も関係ないはおかしいだろ? 何を知っているんだ? それを話せっ! 」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが叫んだ。
それで祝融さんも黙る。
たしかに、何かの目的が無いと考えられない様な行動である。
まさかと思うが、混沌の女神様の後継者の少女がいなくなったので、自分の関わっている鉄のゴーレムから生まれた御堂祐樹という魂を自分の血筋に入れた後に、さらに混沌の女神様の後継者として足るべき形にする為にまつろわぬものの血を御堂祐樹に入れたのでは無いか?
そんな気はするのだが……しかし……。
「だが? しかし? 」
「なんで、そこでだが? しかし? 」
心の師匠のカルロス一世とカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが次々と突っ込んできた。
「いや、良い所はついていると思うんですけど、いかんせん行動が行き当たりばったりで……。あんまり一貫性が無いですよね。やってる事。それで……。それならもうちょっといろいろと動くと思うんですよ。そもそも、御堂祐樹が混沌の女神様の後継者候補になった時に、特にそれを進める気配は無くて、逆に御堂祐樹の撃退に参加して、そうならないように手伝ってたように見えますし……」
「ああ、そう言えば、そんな感じだったな」
俺の説明でカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんも同意した。
「いや、長い事一回目で一緒にいたけど、まつろわぬものの話は聞いたことがあるけど、混沌の女神様とかの話は俺はこの親子から聞いたこと無いしな」
アポリトさんまでそう話す。
修二さんは苦笑したままだし。
これは違うのだろうか。