全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十八部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 秘密 第五章
「確かに、そこからだな」
冷静なラドウルスさんが俺の話を受け入れてくれた。
何しろ、修二さんが今のところ一番怪しいのだ。
下手したら、実は修二さんが全ての中心にいるのかもしれない。
「ええええ? あのヒモが? 」
などと俺が喋っているせいで祝融さんが歪んだ顔で呟いた。
まあ、麗さんの事もあるし、主のヒモってのもあるし、そういうのが積もり積もっているんだろうけど。
「お前の親父だろうがっ! さっさと連れてこい! 」
フリヒリムスが叫んだ。
「段階を置いて話を詰めていくのは大切だから。君の呟きの通りだ。それにしても君は何か解説しているような感じだな」
「いえ、御堂祐樹とかにかけられた思っている事をいつの間にか喋っていると言う呪いが移っただけです」
「そんな呪いがあるのか? 」
「らしいです。奥の院とか言う御堂祐樹の親戚とかがいっぱいいる場所で、この鬼さん達が相手の本音を調べる為に使うらしいです」
ラドウルスさんがいろいろと聞いてきたのでエリンギさんを見せて説明した。
「このキノコみたいなのは鬼と呼ぶのか? 」
「いえ、御堂祐樹に削られてこうなりました」
「かなり古いまつろわぬものだな」
「ええ、まつろわぬものと言うのは聞いてます」
「なるほど、相変わらず戦闘力を今は混沌の女神様に抑えられていると聞くが、それでも強いと言うのはあるのか。総主として大妃の暗殺部隊を率いただけはあると言う事か」
などとラドウルスさんが独り言のように呟いた。
暗殺部隊?
初耳なんだけど。
「知らないのか? 大妃様の汚れ仕事ばかりやらされていたんだ。遠くの異世界から来たので余計にそういう仕事ばかりやらされていてな。だから、どこかで大妃様を裏切るのもあり得るかと思っていたので、裏切られたときはやはりかと思ったよ。フリヒリムスはそれでずっと怒っているが、比較的に早い段階で大妃様の傘下になった譜代の我々とは奴は違うからな。最初から外様扱いだったしな」
ラドウルスさんがちょっと懐かし気に話す。
やはり、長い事生きているから、そういう辛い思いもしているんだろうと思うけど。
「いや、そこで仲良く話しているよりも、早く修二とか呼ばれている、こいつの親父を何とかしろよっ! ここに息子たちとか関係者がいるんだ。こいつの父親なんだから、呼び出せるだろうが! 」
昔の事を俺達の話で思い出したのか、フリヒリムスさんが激怒してさらに御堂祐樹に叫ぶ。
いや、まあ、息子に呼ばれたくらいで出てくる性格しているのならすでに出てるよね。
御堂祐樹に聞いた話だと普通に息子を身代わりにして逃げたりとか碌な話を聞かないし。
だから、息子が呼んだとは言え、あまり意味ないのではと。
「それは義弟の俺も思うわ。自分がやばくなると血も涙もないしな」
心の師匠のカルロス一世が苦笑した。
「そういう流派だからね。身内でも平気で生きる為に盾にって部分がある。それはまつろわぬものの特性だからしゃーないのだけど」
などとエリンギさんが答えた。
さっきの話はスルーされていたみたいで、初めてエリンギさんが近くでそう話したので、ラドウルスさんとかちょっと驚いていた。
「じゃあどうしたら良いんですか? 」
「毒を格納庫に流し込むかだね」
いや、無茶苦茶じゃね?
エリンギさんの言葉にドン引きした。
後先とか考えない、凄まじいまでのえげつなさ。
「防毒マスクとか持ってそうですけどね」
などと涼月東が答える。
それくらいは無限倉庫の簡易版に入れてる可能性高いだろうしな。
「じゃあ水攻め」
「本当に考えて言ってます? 」
「うちの流派的にはそうだから」
「それだと流派的な対応をしているとして酸素ボンベも持ってそうだけど」
「ああ、そうか」
エリンギさんが考え込んだ。
「素直にお義母様に頭が上がらないんだから、お義母様が来ますででてくるのでは? 」
などとアオイさんが話す。
結構、一緒に住んでたらしいから、それでの忠告だろうけど、祝融さんが深く深く同意していた。