全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十八部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 秘密 第四章
「一回目とやらでそんなひどい事を? 」
ラドウルスさんが衝撃を受けたままの顔で聞いた。
「そんなのしか御堂祐樹さんの許嫁達にはいないから」
アオイさんが優しく微笑んだので、余計にドン引きしていた。
横で麗さんをちらと見て、祝融さんが泣きそうな顔をしていた。
「いや、クアムだぞ? 確かに久しぶり会ったら随分影が薄くなったと思ったのだが」
「ああ、分かるわ。いじめられっ子が自分の影を薄くしていじめっ子に声を掛けられないようにする技能だな。俺もお蔭で習得したし」
「何をふざけた事を言っている。円卓の騎士だぞ? 全ての創造主の世界でも最強で名だたる我らがだ」
などとフリヒリムスさんの驚いた話に御堂祐樹が突っ込んだので、ブチ切れた。
「いや、確か大妃さんも一回目の時には許嫁として獅子の軍団に最後の辺りは入ってたろ」
「は? 」
「え? 」
「ど、どう言う事だ? あの大妃様がお前の許嫁だと? 」
心の師匠のカルロス一世が余計な事を言うもんで、円卓の騎士達がざわめく。
「一回目では獅子の軍団に居ましたよ。確かに。御堂祐樹から<並び立つもの>が分離してからは違いますけど」
「<並び立つもの>? 」
「多分、そちらにいる時の姿と性格だと思いますけど、人格に合わせていくつも旦那様は分離できるもんで……」
「ど、どんな存在なの? というか<並び立つもの>って創造神の一柱では? 」
などと神無月涼さんが驚いている。
「ああ、一回目の記憶が希薄なんですね。<終末の子>はイコール<並び立つもの>ですから。まあ、お義父様が闇の創造主だし、そう考えたら不思議では無いと思いますが」
アオイさんに説明されるが記憶の薄い人達は動揺したままだった。
まあ、俺達は御堂祐樹に説明されたけど、神無月涼さんはあの時いなかったっけ?
話が突飛すぎてついて行けないとこもあるからなぁ。
「だから、分岐した世界の未来では混沌の女神様を倒して、世界の創造神の主宰者になるんですよね。御堂祐樹さんが……。奥さん達の獅子の軍団が強すぎて……」
などと言わなくても良いのに、涼月東が言っちゃった。
まあ、それだけ最強の円卓の騎士達を率いる怪物の大妃さんと異常に強いミツキさんとか怪物が揃っているから、そら全ての主宰者になれるよな。
「はあああああっ! 貴様っ! 大妃様にどう言う事だ? 」
フリヒリムスさんが激発した。
「ほらほら、話が長くなるから、一言多いって、君達……」
などと心の師匠のカルロス一世が俺と涼月東に突っ込んできた。
涼月東が余計な事を言ったので、ブチ切れたフリヒリムスさんを必死にドラクネスさんとラドウルスさんが宥めていたがイライラは止まらないようだった。
それで、鬼のような顔で御堂祐樹を睨んだが、御堂祐樹はしょぼんとしていた。
「いや、もうここの皆に言っているけど、あれは単なる神輿で……。俺は殆どいなくても良いような扱いを受けていたから……。だから、同じように獅子の軍団と関わったクアムも関わり合いになりたくないって言ってんだろ? 最後は獅子の軍団の召使いみたいになってたし、クアムも……」
「クアムが? 」
「はああ? 」
御堂祐樹のしょげながらの説明にラドウルスさんとドラクネスさんもドン引きしていた。
一回目の最初はラスボス扱いだったのに、途中で居候になって最後の方は召使ってパターンだと御堂祐樹には聞いているが、流石に衝撃だろうな。
それにしても、話が脱線してしょうがないよな。
まずは修二さんに何でこうなってんのか聞かないと……。
一回目の記憶が共有されていないせいか、本気でグダグダになってきた。
それだけ、過去の恨みとか積もるものがあるんだろうけど