全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十八部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 秘密 第一章
鉄のゴーレムは攻撃をやめたとはいえ、ロケットパンチを発射の体勢で構えたまま、取り囲んだまま対話の為にカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんとフリヒリムスとドラクネスとラドウルスが降りてくる。
一面六臂だの竜神だの一瞬、密教の世界にでも入り込んだような気がする。
皆、金色に輝いて金色の羽根が生えており、正直、尋常では無い神々しさがある。
大体、そういう威厳のある円卓の騎士だらけの中で謝罪をペコペコと続けている御堂祐樹を見ると、かっては仲間だったようには見えない。
「まあ、地味ですよね」
涼月東が俺の漏れ漏れの心の言葉を聞いて、そう呟いた。
「まあ、うちの流派は敵の隙を狙ったり、相手が油断して貰う前提だからあまり派手に強さをひけらかす事をしないのさ」
などとエリンギさんが答える。
「でも、貴方は最初異様にデカい鬼の姿だったじゃないですか」
「それはお前達をあそこに封じて置く役目だったから、ある程度の威圧は仕方あるまい」
「その通り。我も一応、戦うために鬼の姿をしているが、本来は地味なのだ」
などとガマガエルのような鬼さんが話す。
「普段は地味ってどんな姿なんです」
「まんまガマガエルの姿をしている」
「そんなデカいガマガエルがいますか? 」
「鬼では無いから、威圧感は無いだろう? 」
「いや、あると思いますよ? 」
などと俺とガマガエルのような鬼さんが言い合いになっている。
「先ほどから、気になっていたのだが、やはりまつろわぬもののようだな」
そう淡々とラドウルスが話す。
「まつろわぬものをご存じで? 」
俺が驚いて聞いた。
「いや、知っているに決まっているだろ? 」
「創造主ともっとも近しいものだぞ? 」
エリンギさんとガマガエルのような鬼さんが叫ぶ。
でも、ラドウルスさん達の反応がいまいち鈍い。
「混沌の女神様との話は本当か? こいつは我々の中で大妃様に大事にされていたせいで、特別扱いを受けていたが、詳しい話は全く知らんのだ。元々は異世界の創造主のなり損ないだと思っていたが、そうでは無い事になる」
ドラクネスさんがその話を聞きたそうに御堂祐樹に話しかける。
横でフリヒリムスさんがちっと言う感じで舌打ちした。
本気で御堂祐樹の事が嫌いらしい。
まさかの御堂祐樹があらゆる創造主のまとめ役たる主宰者たる混沌の女神様の子供と言う話にもあまり良い気持ちはしなかったんだと思う。
「どうせ、ホラ話だろうが! 」
忌々し気にドラクネスさんに吐き捨てた。
「いや、本来はこんな風に出てこないまつろわぬものがここには大量にいる。混沌の女神とまつろわぬものとの古からの深い関係と言うのは、草創期のいにしえの言葉に出てくるしな」
「そんなもの関係あるまい。ここでこ奴を潰してしまえば良いのだ」
「そんな簡単に行くか。そこの光の混沌の側近だと言うカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンは武辺の者として有名だぞ。それと、大妃様が我らに待つ事を命じて、こ奴らの仲間と移動なさったが、大妃様に匹敵するくらい異常に強い連中が揃っていた。安易に事を進めるべきではない。我らの本来の命令は大妃様の護衛だ。我らは待機しておけとしか言われておらんのだ」
「それを自由に行動できるようにしたのが円卓の騎士だろうが」
「絶対に勝てるのならな」
不満気なフリヒリムスをラドウルスが説得していた。
「とにかく、その辺りの事を聞くしかあるまい。貴様の父親とやらと話をさせろ」
ドラクネスがそう御堂祐樹に話す。
だが、御堂祐樹も困っていた。
「あっちに引っ込んだまま出てこないんだが……」
仕方ないので、心の師匠のカルロス一世がそう格納庫の扉の方を指差して御堂祐樹の代わりに説明した。
「出てこい。こやつの父親とやら」
ドラクネスが声をかけるが全く反応が無かった。
やばいな、逃げたかな。
脂汗が出て来た。