全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十七部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 円卓騎士 第八章
「き、貴様っ! やはりなっ! 」
修二さんが騒ぐのでフリヒリムスがぎろりと睨んだ。
「いやいや、俺は話し合い出来るならと思っていたんだが……」
「盾にしているじゃないかっ! 」
「いや、身体が動いちゃって……」
「お前は確かに策略を巡らす奴だったが、姑息な手を使うようになったな」
「それなら、俺に戦闘を教え込んだ父親のせいだと思う」
そう御堂祐樹が修二さんを見た。
そうしたら、さっきからこれで三対一だとか、勝ったとか騒いでいた修二さんが黙った。
どうやら、御堂祐樹に1人で全部やらせるつもりで騒いでいたらしい。
「まあ、身内でも使えそうなときは盾にするのが、うちの流派だから」
「まあねセオリー通りだよね」
などと黙った修二さんを見て淡々と話す。
「どんな外道な流派なんだか……」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが呆れた顔で修二さんを見ていた。
何しろ、三対一で戦うとか言ってたくせに、いつの間にかカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんの防御陣の中に修二さんがしれっといるのだ。
「修二坊ちゃん、あんた腕を上げたようだね」
エリンギさんがそう誇らしげに胸を張る。
「自分は煽るだけで手を汚さずに相手を始末する。まさに奥の院の神髄だよ」
ガマガエルのような鬼さんが話す。
「息子を嵌めて、どうするんだ? 」
祝融さんが耐えきれないと言うような顔をした。
外で戦うつもりで準備していたアオイさんも呆れた顔をしていた。
だから、別の世界の常識と言うよりは、やはり奥の院を元にした血族がどこかおかしいのだろう。
「そう言われると私達まで入っちゃうんだけど」
「お義父さんのあたりだけですよ」
などとキョウカさんやレイナさんも困った顔をしていた。
「……あれが……お前の本当の父親か……」
フリヒリムスが呆れ切った顔で話す。
「いや、まあ……。ちょっと込み入った話もあるし、出来たら話し合いたかったんだけど……」
御堂祐樹が本当に困った顔をしている。
確かに、そう言う話し合いをと言う所は前には無かったから変わっていっているのか、変わろうとしているのか。
どちらにしろ、そうなってくれないとずっとこのグダグダなのは変わらないしな。
「その通りだな。すまんが、話し合いに乗ってくれないか? どうやら、さっきお前が怪我をさせた二人の仲間も自己再生で復活できそうな感じだし。混沌の女神様の話もあるのだ。出来ればそちらと戦うより、話し合いで協力したいと思う」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんがそうフリヒリムスに話しかける。
やはり、あれでも死なないとか、ラドウルスさんもドラクネスさん相当な怪物なのだろう。
そして、敵意を見せない為にカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが防御陣を外した。
それで修二さんと心の師匠のカルロス一世は転がるように格納庫の扉の影に移動した。
何という自己保存能力。
「どうだろうか? 俺はカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンだ。光の混沌様の側近だ」
そう堂々とカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんがフリヒリムスに話しかける。
フリヒリムスもその堂々たる態度に戦う気を無くしたように黄金の剣を鞘にしまった。
「良かろう! あまり詳しくは知らぬが、それでも俺は円卓の騎士の旗頭であるから、光の混沌様の側近にそんな名前の者がいると言うのは聞いたことがある」
フリヒリムスがそう戦意を消して返答した。
おお、じゃあ、結構有名なんだカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんって。
それなのに、ようやく話し合いになりそうだなと思った瞬間に、次々と戦意を消したフリヒリムスさんに鉄のゴーレムのロケットパンチ第二弾が着弾した。
ああ、やっと隙が出来たと見たのか。
碌なもんじゃ無い。