全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十七部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 円卓騎士 第六章
「道理で……大妃様が最近さらにそ奴に対してさらに熱くなっていたが、そんな話を隠していたのか……」
ラドウルスがそう呻く。
「なるほどな、俺にも『お前らは敵味方も分からぬ、ポンコツの卑怯者と彼を言うがそうでは無かった。見るべき御方には分かるのだ』と大妃様に言われた事があったが、そう言う意味だったのか」
ドラクネスも唖然として呻いた。
「え? 大妃と会話が出来る? 」
御堂祐樹が驚いた。
「当り前だろうがっ」
「大妃様をなんだと思っているのだ」
ラドウルスとドラクネスが怒鳴る。
御堂祐樹が上から見下ろして修二さんを見た。
「一回目とは違うのかもしれんな」
「前の時は最初は会話なんて狂っていて出来なかったんだけど」
「「前ってなんだ? 」」
修二さんと御堂祐樹の言葉にラドウルスとドラクネスが反論した。
「別にサヨ婆様とも大妃さんとは普通に話をしていたけどね」
などとエリンギさんも話してくる。
「まさか、混沌の女神がいらってる? 」
「あり得るな」
などと御堂祐樹と修二さんが焦る。
今後の流れがさらに読みにくくなるからだろう。
「おいおい、トラブルにならないように混沌の女神様がやっているんだから、それをそんな風に言うなよ! 」
渾沌の女神様の信奉者でもあるカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが突っ込んだ。
「何を仲良く話をしているのだ! 」
突然、地上から金色の閃光が御堂祐樹を狙って走る。
どうやら、さすがのフリヒリムスがロケットパンチをくらいつつも、立て直して攻撃してきたようだ。
「あ、ごめん……つい……避けようとして……やっちゃった……」
などと御堂祐樹がもじもじして謝る。
俺達が見ていても凄くナチュラルにさっとドラクネスさんを盾にした。
それでドラクネスさんが驚愕の顔で固まったまま右手と尻尾と右足の半分を斬り落とされた。
本気で凄い顔をしていた。
何というか、レビテーションの移動があまりにも自然すぎて、仲直りで握手しようと手を出したようにすら見える自然な動きだったので、余計に驚く。
「いや、ある意味、フリヒリムスの攻撃を読んで、ドラクネスに当たらないように移動させようとして手を差し出して避けさせようとしたけど、つい癖で盾にしちゃったんじゃないか? 」
俺が喋っているせいで心の師匠のカルロス一世が解説してくれる。
「それで、申し訳なくて珍しく動揺して謝っている感じだな。身についた動きと言うものはどうしょうも無いからな。狙撃手とか手が機械になってしまったとか言う感じで、ターゲットに入ったら自然に撃ってしまうとか言うからな」
「何度も何度もそう言う技の練習で研鑽する事で自然に体が動いてしまうと言う事はあるからね」
などと修二さんエリンギさんも御堂祐樹を庇うように話すが、助けようとして盾にするって何なんだ?
そんな技があるのだろうか?
「あるさ。これが私ら流なんだよ。まつろわぬものが持つ技。ナチュラルに他人の命よりも自分の命を大切にしてしまう。盾に使えるなら使ってしまう。これはまつろわぬものの性だよね。悲しい事だけど、それで私らは親友などをついうっかり盾にする事で孤立していくのさ」
ガマガエルのような鬼さんも悲しそうだ。
「いや、盾にしなきゃいい話ですよね」
涼月東が突っ込んだ。
「だから、そう言う技を私らはずっと習うのさ。それは私の流派が持つ悲しい事実なんだよ」
エリンギさんが声は悲しそうに呟いた。
いや、習わなきゃいいじゃんって真面目に思うのだが。
「それが、まつろわぬものの現実なんだよ」
などとガマガエルのような鬼さんが話すが、これって流派を作った御堂祐樹の曾祖母と祖母の問題じゃないかと思うのだけど。
などと思っている事を喋っていたら、困った顔でガマガエルのような鬼さんもエリンギさんも黙ったままだった。
どうやら、その事に気が付いて無かったらしい。
そう言えばって顔をしていた。
どうしょうも無いな。