全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十七部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 円卓騎士 第四章
「やはり騙し討ちかっ! 相変わらずの糞野郎だ! 」
フリヒリムスが叫ぶ。
だが、顔は嘲笑していた。
一瞬にしてカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが出したような球形の防御陣を出した。
あっさり、それで防げると見たらしい。
普通にミサイルが飛んでくるようなものだし。
だが、それは時間が止まった無敵の鉄のゴーレム達のロケットパンチである。
そう言えば、昔から思うけど、ロケットパンチって発射した後に腕が使えなくなるから、戦えなくなるし、何の意味があるんだろうか。
「漢のロマンがあるのだ」
俺が話しているせいか、修二さんがきっぱりと言い切った。
何故か、心の師匠のカルロス一世だけでなく祝融さんまで深く頷いていた。
そんな馬鹿な。
などと思っている間に、フリヒリムスの球形の防御陣などを相手にもせず透過して、フリヒリムスに無茶苦茶ロケットパンチが直撃した。
さっきまで余裕だったフリヒリムスがひしゃげたようにロケットパンチに次々と跳ね飛ばされて吹っ飛んでいく。
「なんで、防御陣をすり抜けるんです? 時間が違うから格納庫も鉄のゴーレムも傷つかないとは言え、カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんの防御陣は抜けなかったような気がしますが……」
涼月東が当たり前の事を聞いた。
実際に、俺もそう思う。
「それは……漢のロマンがいっぱい詰まっているからだ」
修二さんが厳かに告げた。
それにまたしても、心の師匠のカルロス一世と祝融さんが深く頷いた。
一条和馬まで真顔で頷いている。
何かおかしいような気もしたが、元々でたらめな世界だし、これで良いのか。
「やっぱり騙し討ちだとはな! 」
光り輝く龍の頭と尻尾を持つ龍人の天使が異空間から現れる。
「あれは? 」
「ドラクネスとか言う奴だ。機械などをモンスター化できる奴だ」
「それならば、鉄のゴーレムがやばいのでは? 」
神無月涼さんが心配そうに呟いた。
「大丈夫だ。鉄のゴーレムは機械ではない。鉄の塊に漢のロマンがつまっているだけだから」
んなあほな。
そう思ったが、心の師匠のカルロス一世だけでなく祝融さんまで、またしても修二さんの言葉に深く頷いた。
そのドラクネスの背後から、額に3つ目の目を持つ中世の貴族のような服を着ている天使が現れた。
「あれは……? 」
「確か、ラドルウスだ。死者を生き返らせて配下にしたり出来る異端の円卓の騎士だ」
涼月東が指さすと修二さんが教えてくれた。
「どうした? あんなロボットなど貴様なら問題無いだろう」
そうラドルウスがドラクネスに話す。
「いや……なんだ? これ? ロボットじゃない……。しかも、カラクリですら無い。時間が違うので探れないが、何だこれは? 」
ドラクネスが動揺していた。
「ふふふふふふ、男のロマンが理解できないとはな」
「なるほど、円卓の騎士とは凄い力を持っているとは思うが、その程度とはな」
などと修二さんが呟くと心の師匠のカルロス一世が同じように冷笑した。
どこから来るのか良く分からないが、凄い自慢げだ。
「つくづく、あんまり関わりたくない世界だよな。狂っているよ」
修二さん達より、カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんの嘆きの呟きの方が耳に残った。
確かに、そう思う。
狂ってるよな。
「馬鹿な事を、漢のロマンは全てにおいて勝るのだ。ロボットでなくて戦闘機で良いじゃんとか変形したらそのスペースもいるしかえって弱くなるんでは? とか漢のロマンを理解しない奴らはF-14トムキャットを見るんだ。凄い古い戦闘機で時代遅れだが可変翼があるせいで、未だに映画とか出たりするだろ? 漢のロマンとはそう言う事だ」
修二さんがバーンって感じで反論した。
熱く語られる分、こちらが覚めたりして困った。