全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十七部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 円卓騎士 第三章
「良いか、タイミングを見るから、開戦は粘れよ」
修二さんがそう囁いている。
文月家は耳が命なだけあって、他の人にはあまり聞こえて無いかと思うが。
本気で騙し討ちするんだ。
アオイさんも微妙に戦闘態勢に入る。
「三対一か。ちょっときついかもな」
などと心の師匠のカルロス一世が淡々と話す。
「勝てるのは勝てるんじゃないかと思うが。あれでも怪物だし」
祝融さんがそう突っ込んだ。
「影にまだいるだろ。上手い事して各個撃破出来れば良いんだが、そうじゃないと厳しいよな」
心の師匠のカルロス一世が冷静に話すけど、どっちかってーと、一大戦力のカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんを防御に使っちゃっているからこうなるわけなんだが。
「馬鹿な! 防御は基本だぞ! 」
心の師匠のカルロス一世が断言した。
「やっぱり、そっちの世界はそんなのばかりなんだな」
祝融さんがため息をついた。
御堂祐樹が空を飛び始めた。
上空で対峙する為らしい。
空を飛べるんだ。
「普通にレビテーションとかできるんだな」
涼月東が感心していた。
あんまり、そう言う所をそう言えば御堂祐樹は見せなかったから。
『ふはははははは! 大妃様はいないぞ! やっとお前を殺すことができる! 俺で終わらせてやるよ! 』
フリヒリムスは非常に楽しそうだ。
御堂祐樹が同じ高度まで昇ると対峙したまま、異様な気配がしだす。
「隙を誘うために、御堂祐樹が一撃必殺のタイミングを見計らっていると見せる為に攻撃態勢に入ったな。これ、不意打ちが失敗したら、どうなるんだろうな」
「普通に不意打ちで勝っても、こいつらはこんな奴らだって話になって、将来的には大損だと思うがな」
「元々そう言うタイプだから、無くすもんなんて無かろう」
祝融さんの懸念を心の師匠のカルロス一世があっさりと言い切った。
まあ、ある意味糞だよね。
「これは、うちの流派の戦い方だから」
エリンギさんが横から口出してくる。
「こういうの続けるとあいつらはやばいから関わるなって感じになるんだ。恐れられて、敵に回る奴が減るんだよ」
ガマガエルのような鬼さんも同意した。
「てっぺんに行く者の戦い方じゃないと思うがな」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんがちょっと悲しそうに防御陣を張りながら呟いた。
もう、性格だからしょうがないんだけど。
徳のある行動には程遠いし、確かに騙し討ちを普通にする奴の下なんて使い捨てられそうで嫌だ。
『さあ、一騎討ちだ! 勝負だ! 』
フリヒリムスがテレパスで叫ぶ
「いかんな、あちらもこちらを警戒している。隙が見えない。ここで無理に攻撃しても逆に奥の奴らが出てくる。それなら息子に一騎討ちだけさせた方がまだ勝率が高い」
修二さんが舌打ちした。
まあ多分、その手の戦術ばかり取ってたのは知っているのだろうから、相手は警戒するよな。
「どうするんです? 」
「仕方ない、一騎討ちで戦わせよう。騙し討ちとかしたらやばそうだ。まあ、五分五分くらいは持っていくだろうし、奥にいる奴らが出てくる方が厄介だ」
アオイさんの言葉に修二さんが淡々と話す。
声をちゃんと出しているんだから、敵にも御堂祐樹にも聞かせているみたいだ。
そうしたら、上空で御堂祐樹が困った顔をしていた。
『よしよし、それで良いのだ。不意打ち狙いだとは思っていた』
フリヒリムスがテレパシーで笑っていた。
その瞬間、大量のミサイルみたいなものが100発以上フリヒリムスに向けて殺到した。
よく見たら、それはミサイルでなくロケットパンチだった。
「これを狙っていたのか? 」
心の師匠のカルロス一世が呻く。
「いや、違うだろ。そういや、鉄のゴーレムにロケットパンチの機能があったの忘れてたわ」
修二さんが苦笑していた。
本当に計画外だったらしくて、上空の御堂祐樹が酷く動揺していた。
『くそっ! やはり騙し討ちかっ! 』
フリヒリムスが叫ぶと陰に隠れてた円卓の騎士が現れる。
あーあーあーあー。