全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十六部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 恐るべし予言 第八章
「いやいや、本気出せば良いじゃん」
ガマガエルのような鬼さんが修二さんに笑う。
「それ以外に何か隠しているだろ。変な技を持っているじゃん」
御堂祐樹が苦笑した。
「ほう、祐樹坊ちゃんはそれがわかるのかね。修二坊ちゃんも気が付いているとは思ったけど、なるほどなるほど。大したもんだわ」
ガマガエルのような鬼さんが笑った。
「いや、じゃあ、お前がやったらいいじゃん? 」
一条和馬がキレそうな顔で話す。
「俺は外の方に気を使っているから」
などと御堂祐樹が話す。
いつもの誤魔化しかと思ったが、ちょっと雰囲気が違う。
長い事、文月家として監視対象にしていると、そう言うのが分かるようになる。
それだけ観察しているって事だが。
「やはり、何かいるのかい? 」
エリンギさんが聞いた。
それでガマガエルのような鬼さんだけでなく後ろにいる異様な鬼師団の鬼さん達までさわさわと騒いでいる。
そう言えば大妃さんって創造主だったよな……。
「武闘派で有名だ。昔はすごかったらしい。後で光の混沌様に聞いたら、その時はこいつがいたらしいが」
などとカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが吐き捨てるように話した。
まあ、御堂祐樹に振り回されているから、余計にイラつくのだろう。
「何が来てるんだ? 」
「いや、あんたも察しているだろ? 大妃が一人で来るはずないじゃないか。まだ、俺が配下を倒して、<並び立つもの>を分離して、大妃が獅子の軍団に入る前の話だぞ? 」
修二さんの突っ込みに御堂祐樹が苦笑する。
「そう言えば、いろいろと厄介なのいたよな」
心の師匠のカルロス一世が嫌な顔をした。
「外でうろうろしている、こっちが本隊かもしれん」
御堂祐樹の言葉で全員がざわめいた。
「なるほど、こちらの動き次第では旦那様を奪還するつもりだと言う事ですか。私達も二手に分かれていますし、それは十分あり得る話ですね」
「龍女さんとか燐女さんとか呼ぶ? スタンバイしているはずだけど……」
アオイさんも心配そうだ。
「俺はあんまり、そう言う意味では戦いたいたくないんだがな。創造主同士の話でなくて、まつろわぬものとの戦いに味方してあげて欲しいと言う光の混沌様からの話だし。大妃だろ? 侵略先の創造主をハメて存在を消した挙句にその配下も全て虐殺したって噂がある」
「ああ、それやったの。昔の俺」
「は? 」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが絶句した。
「当時は心が無かったから、言われるとおりに殺してたからなぁ」
「じゃあ、人質で降伏させて、人質ごと殺したとか言う話もか? 」
「それも昔の俺」
淡々と御堂祐樹が話すので、マジでビビる。
「まあ、途中で心がおかしくなって、俺とはぐれた時にいろいろとあったのは知っているけど。結構派手にやっているな」
「大妃のとこがそんな感じだったんだよ。俺に感情が無かったから使いやすかったみたいだけど」
御堂祐樹が本当に淡々と話した。
「となると、大妃のとこってえぐい戦い方するのか」
祝融さんが呻く。
「多分、奥の院と変わらんレベルだろ」
「それは言えている」
心の師匠のカルロス一世の言葉に修二さんが苦笑した。
「私らは簡単に殺さんけどね。そいつを使い切るのはあったとしても……」
エリンギさんが話すが、その使い切るってのが怖かったり。
「ああ、俺が格納庫から出ているのを確認した」
「やる気だな。そう言う動きだ」
そう御堂祐樹と修二さんが呟くと、一斉に獅子の軍団と鬼師団が散開して姿を隠す。
仕方ないので、心の師匠のカルロス一世に続いて、俺達は カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんの背中に隠れた。
「お前ら、そればかりだな! 」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんがキレていたが。