第二十一部 第九章 王太子
とりあえず、と言う事で今、王宮にいる。
あの巨大な穴はヤマトの中央大将軍のイジュウイン大公の兵と修羅一が監視しているそうだ。
いつもの会議室へイジュウイン大公のアンナが先導で俺と許嫁達とダグダ師匠と樹老人さんとヨシアキ大佐とカルロス一世とともに一緒に行く。
アポリトとクニヒト大佐は本人の希望で船に残った。
目の前にイジュウイン大公が現われて、俺を見つけると抱きついてきた。
「は? 」
「我が息子よ」
イジュウイン大公が感極まって言った。
「ちょっと、お父さん恥ずかしいから辞めてよ」
「だって、やっと娘の相手が決まったんだよ。猛禽のトップなんかになるから、誰も婚約してくれなくて、お父さん辛くて」
イジュウイン大公がグズグズ泣いた。
「ちょっと、私、好きで猛禽のトップになんかなって無いけど。とにかく辞めて! 恥ずかしいから! 」
小声でイジュウイン大公を黙らすように言った。
「ありがとう。ユウキ君」
何と言う、有難迷惑な内情説明。
せつない。
「とりあえず、それはこちらに置いといて」
俺が物を横に置く仕草で言った。
「な、何だと。その技はイジュウイン家に代々伝わる伝統技では無いかっ! 」
イジュウイン大公が驚いたように叫んだ。
こんなしょうも無い技を代々伝えてんのかよ。
「まさに、我がイジュウイン家にふさわしい婿が来た」
イジュウイン大公が咽び泣いた。
「もう、やめてよ」
アンナが真赤になって顔を覆っている。
意外と可愛かったりする。
「何をやってんの? 」
国王と宰相がイジュウイン大公の後ろで呆れたように聞いた。
「いや、イジュウイン家にふさわしい婿が得られたと感涙しているのです」
イジュウイン大公が答えた。
「は? 何を言ってんの? 彼は我が宰相家の婿ですよ」
宰相がイジュウイン大公に言った。
「は? 」
イジュウイン大公が唖然とした。
「だって、うち、男の子いないもの」
宰相が笑った。
俺がアオイとミオを振り返った。
アオイとミオがぶんぶんと顔を左右に振った。
「俺もアオイもミオも知らないけど」
宰相に言った。
「何言ってんの。娘を二人も貰ってんだから決まりでしょうが」
宰相が笑って答えた。
いや、二人いるけどさ。
「いや、彼は王太子だぞ」
国王が言った。
俺をはじめ皆が固まる。
俺がキョウカさんとミヤビ王女とユイナを見た。
キョウカさんとミヤビ王女とユイナが首を知らないと言う風に左右に振った。
「皆、知らないけど」
「ああ、まだ、言って無かったな。レイナがお前のとこに嫁入りするからな」
国王が無茶苦茶良い笑顔だ。
「は? どういう事? 」
俺が唖然とした。
「ああ、私、今、修羅のトップだから」
そしたら、国王の背後にレイナさんがいつの間にか立ってて、ちょっと頬を染めてた。
「はぁぁあああああああああああああ! 」
俺だけじゃ無くて、許嫁とか皆が衝撃を受けた。
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