全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十六部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 恐るべし予言 第四章
「まあ、でも7月5日は世間的には外れたって扱いになってますよね。出版社がインパクト出す為に、夢見た日と時間を出すって言われて、締め切りで焦ってたから頷いてしまったって言う、今頃出すのかって話を数か月前に言いだしてたし」
ノストラダムスの予言も調子に乗って書いてた作者が予言が近づいて騒ぎになった辺りで、焦って予言は起きないって白けた本を出版して誤魔化そうとしてたから、余計にそのイメージがあったりして。
「トカラ列島で海底火山系の群発地震と海底火山系で繋がりのある霧島の新燃岳も噴火したからリアルっぽくなっちゃいましたもんね。海底火山の噴火で津波って騒いでたから。特にあの近辺は鬼界カルデラで昔々に西日本を壊滅させたとこだし」
涼月東が補足してくれた。
その通りである。
「何がその通りなんだ? お前らまで、こいつの話をずらすのに付き合うなよ。いつも、この家族はこうだろ? こうやって意味不明の話をして、こちらがそっちに気を取られて隙が出来たら奇襲だろ? ずっとこれじゃないかっ! 」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんがいらいらして叫んだ。
「ああ、それ、ツキヨ婆様もサヨ婆様もそれだ」
「代々伝わる戦術じゃから」
などとエリンギさんとガマガエルのような鬼さんが話す。
「いや、お前らが原因かよっ! 」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが絶句した。
まさか、こんな馬鹿みたいな手をずーっとやってんだ。
普通、先祖代々の戦い方って、もうちょっと必殺技感がありそうなものだけど……。
「いや、必殺の技だぞ? あれほどの力量を持つものが対峙した途端にふと世間話とか淡々と話し始めるんだ。そうすると段々緊張感が無くなる。そこを不意打ちするのだから、相手はたまらずに一撃でやられる」
「いや、まつろわぬものの意地はどこに行ったんだよ」
俺が喋っていたせいで、エリンギさんが淡々とどれほどそれが恐ろしい戦い方なのかを説明したがカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが凄く悲しい顔をしていた。
「その前の相手を引き付ける話術が要なのだ」
ガマガエルのような鬼さんもそう続けた。
「そう言えば、うちの古株の必殺技が、ここは他人の目があるからこっちに来いとか裏に誘われて、相手が背中を向けた途端に近くの鉢植えで頭を割るだったの思い出しました」
「実戦での強さって、どれだけ卑怯になるかだからなぁ」
涼月東がふと思い出したので俺も答えた。
「諦めたら? 俺は一回目もずーっと義兄や甥のこういう戦いを見て来たから、騒いでも仕方ないと思うぞ」
などと横に寝転がった心の師匠のカルロス一世が淡々と話す。
「いや、実際、こいつらは糞強いのに、なんでこんなことするんだ? 真面目に無茶苦茶強いだろ? 本当は! 」
「いや、簡単に倒せるから」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんの問いに御堂祐樹が淡々と答える。
もう、卑怯な事をする罪悪感すら感じてない。
まあ。喧嘩が強い奴って大体そうだよね。
本当の命がけの喧嘩って隙見てブロックとかを相手の頭に振り落とせるかどうかだし。
「武人の誇りとか無いのか? 」
「負けたら終わりじゃん」
などと御堂祐樹が答えると修二さんも頷いていた。
「これが混沌の女神様の後継者になるのか……」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが泣きそうになっていた。
「でだ、さっきの予言とかの続きだがな……」
「「「「「「「まだ、続くんかい! 」」」」」」」
修二さんが話を戻したので一斉に皆が叫んだ。