全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十六部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 恐るべし予言 第三章
「まあ、とりあえず。親父と戦ってよ」
などと爽やかに御堂祐樹が話す。
「私はあんたと戦いたいんだけどね」
「じゃあ、こう考えよう。俺はエリンギさんと戦ったばかりだ。だから、すぐに戦うのは卑怯だろ? それならば同じ条件にする為に、あんたは親父と戦ってからと言う事でどうだい? 」
御堂祐樹の言葉に感心する。
なるほど上手い。
意地と戦いに誇りを持っているらしいまつろわぬものとしたら、正々堂々と一対一で戦うのを提案した以上、対等な状況で戦いたいはずだ。
一度戦っている御堂祐樹と、まだ戦っていないガマガエルの鬼さんでは状況が違う。
「いや、獅子の軍団と戦っていたけどね」
ガマガエルの鬼さんがそう答えた。
あああっ!
何という盲点だっ!
確かにそれは言えている。
「いや、それなら、その前に俺も皆と戦っているから、それは一対一の局面とでは違うだろ」
などと御堂祐樹が返す。
おおおおーっと、これは御堂祐樹の行っている方が正しいかぁぁ!
「なんだか、格闘技とかプロレスの解説みたいですね」
涼月東がそう突っ込んできた。
「いや、思った事を呟いている状況で、これはまたこれで、どうしょうも無いのでは……」
そう俺が話す。
だって、俺からしたら、一騎打ちとか格闘技のイベントとかプロレスのイベントと変わんないし。
「ふぅむ。しょうがないね」
ガマガエルの鬼さんがそれで納得した。
「悪いんだが、俺は今いろいろあってね……」
などと修二さんが言い訳めいて逃げようとしている。
「言い訳じゃないさ。いいかい? かってノストラダムスの予言と言うのがあったんだ。1999 7の月だよ。終末論とか凄くなっちゃってさ。友達にいたんだが、ノストラダムスだけじゃ信じてないかもしれない。一部の新興宗教も一斉にそれに乗っちゃってね。その予言を信じちゃっていたのさ。その宗教は歴史を見ると1900年と1920年と1945年と世界が滅びて神の新しい世界が始まるって言って、その度に信仰する人間を増やしていたんだ。で、当然外れて信者は減るけどへこたれず、これが本当の滅ぶ年だっててんで1999年 7の月を言い出したんだ。親が信じている宗教だったけど、ノストラダムスの予言もあったし、そいつ信じてしまって、どうせ滅ぶなら夢を叶えたいと東京に行っちゃってな。当然、そう簡単に叶うような夢でなくて、駄目だったんだけど、ぶっちゃけ、そういうチャレンジしたせいで、そいつの人生変わっちゃった」
「ああ、そう言うのってあるみたいですよね。どうせ滅ぶならって就職せずにゴロゴロしてたのもいたみたいだし」
「そして、今度は7月5日だ。何も起きなかった」
そう、修二さんがふぅとため息をついた。
「いや、あれ7月中らしいんで、まだ終わってないですけど」
「え? そうなの? 」
「もともと、3.11当てたって言うけど、あれも3月中って予言だったそうですしね」
「ええ? 」
涼月東の突っ込みに修二さんが驚いた。
「ああいうのはどうかと思いますよ。実際、うちのデータに残っているけど、3.11を当てた霊能者ってリアルタイムで当時のツィッターに投稿してたから、全然最初から違う事言ってたのに、途中で信者が大地震を当てたって騒ぎだして、それが本当みたいになっちゃった」
「結構、ありますよね。本当は言って無いのに、いつの間にかそう言っていたに変わって、予言が当たったって騒ぐ奴」
俺の突っ込みに、涼月東も同意した。
商売だから当たったって騒がざるを得ないのだと思うけど、結構適当なのだ。
「また、話がずれるの? 」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが呆れたように、近くの大きな石の上に一休みと言う感じで座った。
そして、ちらと見たら心の師匠のカルロス一世はすでに地面に寝転がって話を聞いていた。