全部社会が悪いんやっ! ONCE AGAIN第五十六部 文月凪(ふみつきなぎ)視点 恐るべし予言 第二章
「なんだね。私は御堂祐樹と戦いたいんだけどね」
ガマガエルみたいな鬼がちょっと呆れたように呟いた。
「一応、順番で言ったら、父親からするものでは無いのかな? 」
などと御堂祐樹も引かない。
いや、主人公ムーブはどうなった?
などとそう思いつつも、良く考えたら、これから敵の大物が出てくるかもしれない。
異常に入り組んだ話みたいだから、誰が敵かも分かんないし、そんな時に戦いを避けるのは当たり前か。
「ふうむ、それは確かかも知んないね。正直、私はツキヨ婆様やサヨ婆様が中心になって、かっていろいろとあったツキヨ婆様の姉の混沌の女神に対する意地だと思っていた。だけど、ちょっと妙だとは思っているんだ。ツキヨ婆様は前線に出てこないし、どちらかと言うと竹を割ったような性格で、そういう権力とかにおもねる性格ではないサヨ婆様が中心になって動いている。今後は何か一転二転するような話があってもおかしくない」
などとエリンギさんが話す。
「いやいや、敵なのに、そんな事を全部ばらしても良いのっ? 」
俺があまりの事に叫んだ。
「我々は戦って勝負かついたらノーサイドだから」
「いやいや、全体としてはまだ緒戦でしか無いですよね」
「私は終わったもの」
エリンギさんが悪びれない。
「まあ、私らまつろわぬものは、そんなとこはあるからねぇ」
などとガマガエルみたいな鬼さんまで、そう話す。
「という事は、一つの組織として考えたら致命的なのでは? 」
涼月東が突っ込んだ。
「あたしらはツキヨ婆様やサヨ婆様に惚れて近くに居るだけだから」
エリンギさんがそう嬉しそうに身体を揺らした。
「こういう人たちだから、今回の件は真面目に驚いたんですけどね」
「どちらかと言うと戦争の仲裁や反撃してこようとする場合はツキヨ曾祖母様とサヨ祖母様は動くけど、今回積極的にどちらも策謀的に動いてたから」
キョウカさんとレイナさんがそう横から感想を話す。
「いや、分かってたら止めたら? 」
「でも、ツキヨ曾祖母様が動く時って意外と大きなときだけだし。あまり私欲があるタイプでも無いから、何かあるんだろうとは思ってたけど。そもそも、混沌の女神様って父さんは知ってたけど、私達は良く知らなかったし」
アオイさんまで、そんな話をしだす。
「まあ、何かあるんだろうさ」
「そんな事は私らが考えていてもしょうがない」
などとエリンギさんとガマガエルの鬼さんが苦笑している。
やばい、結構、流されて戦っているだけっぽい。
「本当だな。真面目に、もっと混沌の女神様の後を奪ってとか深い策謀があるのかと思ったら、ちょっと驚いた。そもそも、ちょっと組織としてまとまりがなくは無いか? 」
「一騎当千ってのはそう言うものだ」
などとカエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんの呆れた言葉にエリンギさんとかずれた事を話す。
「もう少し、話を詰めたりして無いのか? 」
「我々は意気で動くからね。だから、皆、ツキヨ婆様やサヨ婆様に憧れて付き従っているんだ。だから、戦えと言われたら戦うし、死ねと言われたら死ぬ……まあ不死だけどね」
祝融さんの突っ込みをガマガエルの鬼さんが苦笑した。
「これは……素直にツキヨ婆様とかサヨ婆様と話をした方が良くないか? 」
カエサル・アエリウス・アウドニア・アウレリウス・エクセニウス・アウレウス・クトゥルスンさんが御堂祐樹にそう話す。
俺も同意だ。
誰もが言われたままで戦っているだけで、全然、本当の話に入れない。
渾沌の女神様と戦うのだって、意地だけでってのは考えにくいのだけど……もちろん、まつろわぬものがそう言う行動原理だとしてもだ。
「悪いけど、それは駄目だ。私らも頼まれた以上意地と言うものがある」
ガマガエルの鬼さんがそう話す。
うーん、結局堂々巡りのような気がする。